2012年11月21日水曜日

無制限に緩和をしていく・・・建設国債の範囲内で by 安倍総裁

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駒澤大学の飯田氏の分類によるとリフレーション政策には三種類があるが、安倍晋三自民党総裁が最も過激な政策を主張しているとメディアが大きく報じていた。

つまり、(1)政府がインフレ目標を定め、(2)日銀が無制限に緩和して達成を目指し、(3)未達成の場合は日銀に制裁を与えると言うものだ。イギリスやニュージーランドの金融政策から、さらに中央銀行の独立性を低下させた感じの、先進国では類を見ない制度であるため、先行き見通しに混乱が起きた。

ところが安倍総裁がFacebookで、イェール大学の浜田宏一からのFAXの内容を紹介しつつ、(a)具体的な目標値は専門家に任せる、(b)量的緩和の範囲は建設国債に限る、(c)日銀引き受けには言及していないと否定している。

また改めて申し上げますが、私は物価目標について、「名目2~3%を目指す。私は3%が良いと思うが、そこは専門家に任せる」「建設国債の日銀の買い切りオペによる日銀の買い取りを行うことも検討」と述べている。

国債は赤字国債であろうが建設国債であろうが同じ公債であるが、建設国債の範囲内で、基本的には買いオペで(今も市場から日銀の買いオペは行っているが)と述べている。

直接買い取りとは言っていない。

(a)に関しては、どこの専門家がインフレ目標を定めるのか?と言う問題が残る。日銀政策委員会が定めるのであれば、現状と何ら変わらない。政府や与党が定めるとすると、日銀の独立性に問題が残る。なお、FRBECBは自主的に目標値を定めているので、現状の日銀に近い体制だ。

(b)に関して、メディアは安倍総裁が「無制限に緩和をしていく」と発言と報じている。ニュースの動画でもそう言っている。しかし建設国債の購入だと140兆円程度に絞られるため、緩和規模に限界を設けている。もちろん日銀は80兆円程度の国債を保有しているに過ぎない(Reuters)から、現在の数倍までは購入可能だが。

(c)に関しては以前のインタビューから考えると特に違和感は無いが、「無制限に緩和」と「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう」「日銀法改正も視野」と言う発言から、メディアが日銀引受に言及したと解釈したのはやむを得ない。インフレ目標の導入だけなら、国会同意人事である日銀総裁や日銀政策委員会の審議委員を選べば良いだけだから、日銀法改正は不要だ。前回の審議委員に金融緩和の支持者が入ったことから、野田総理はこの方法を模索しているように思える。

安倍氏は、最大の議論である日銀の独立性については、Facebookでもコメントしていない。「物価目標を達成するため、日銀は無制限にマネー供給を増やすべきだ。目標に到達できず、なぜできなかったかを説明できなければ、日銀総裁には責任を取ってもらう」と強調している(時事ドットコム)ので、どういう責任の取り方を求めているのかは明示する必要があるだろう。イングランド銀行のように、議会で説明するだけで良いのであろうか?

2 コメント:

POM_DE_POM さんのコメント...

オペレーションの対象や規模まで指定したのでは、中央銀行の独立性も何も無い気がするのですが。

それは兎も角。
浜田氏のFAX内容を見て、マネーサプライ論争における岩田氏の「標準理論」VS「日銀理論」を思い出したり。

安倍氏の「物価目標を達成するため、日銀は無制限にマネー供給を(以下略)」発言を見ても、日銀はマネーサプライを(従ってインフレ率を)コントロールできる、という考え方が根底にあるように思います。
「日銀総裁には責任を取ってもらう」というような話になりがちなのも、日銀にはそれができるのにやってない、という意識があるからなのでしょうね。

hikaru さんのコメント...

中央銀行の独立性なんて、国際禁輸資本家達が通貨の発行権を各国の政府から切り離すための方便にしかすぎないのに・・。

外国人や外国、専門家が言ってることが全て正しいのなら、世界の金融ははこんなにも混沌とはしていないよ。

いい加減目をさませよ(笑)

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