2011年12月20日火曜日

北朝鮮の金正日の死を悼めるか?金明秀の北朝鮮擁護を考える

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関西学院大学社会学部教授の金明秀氏が、金正日の死に関連してTwitterで奇妙な主張をしている。全文を引用してみよう。三種類の「愚か者」が述べられている。

『今日はイヤなものをたくさん見聞きした。隣国の元首の死を喜ぶ愚か者。隣国の王を「独裁者」と規定して自国がそうでないと思いこもうとする愚か者。ここぞとばかりに隣国に愛着を持つ子どもたちを低劣な愉悦の道具にしようとする愚か者。』

金正日の死亡ニュースとその反応を批判している。しかし、本当に「愚か者」と言えるのであろうか?

1. 北朝鮮の行動は尊敬に値しない

北朝鮮は拉致問題、大韓航空機爆破事件、超精密偽100ドル札偽造(スーパーノート)、覚せい剤密輸事件、韓国哨戒艦「天安」撃沈事件、延坪島砲撃事件、核兵器開発問題、暗殺事件(ラングーン事件、朴相学暗殺未遂事件)などを引き起こしている武力集団だ。日本は国家承認を行っていない。国内の経済政策も問題が多く、毎年のように飢餓が報道され、さらに多くの脱北者が発生している。

2. 拉致問題は深刻な問題

特に拉致問題に関しては日本にとって深刻な問題がある。日本国憲法18条には「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」とある。説明するまでもなく、日本国領土で国民を誘拐・拘束すると言う事は、日本国民の権利を踏みにじる行為で、外国政府が行えば本来ならば紛争が発生する。

3. 北朝鮮の金正日は「独裁者」

北朝鮮は用語定義の上では専制政治であるが、社会通念上は朝鮮労働党による主体思想を掲げた一党独裁政権だ。非民主制度と言う意味では十分に独裁政権であるし、全ての権限を集中させていた事から独裁者であると言っても、大きな間違いでは無い。まともな選挙も無く民意を確認する事をしない非民主的な国家だ。

金明秀氏は「嫌がる国民を無理やり私利私欲のために虐げている専制君主が長期にわたって政権を握っていると思っていたとすれば、それは、隣国を愚弄しすぎ」と北朝鮮を擁護するが、栄養失調で死にかけている国民が金政権を支持していると言えるのであろうか。氏が専門とする社会学の慣習では、制度が人々の行動を規定すると考えるらしいが、北朝鮮の政治体制が国民の選択を抑圧していると考えないのであろうか?

追記(2011/12/21 20:30):金明秀氏は『隣国の王を「独裁者」と規定』と批判しているのに、後で『ぼくはあの人が「独裁者」でないとは言っていません』と弁解している。批判的なコメントで動揺したのか、明らかに相反する主張である。

4. 日本は独裁国家か?

日本には選挙があって、後で投票先を間違えたと思うことはあっても、民主制度をしいている。原則として行政・司法・立法と三権は分離されており、内閣総理大臣であろうとも色々な制約を受ける。他人に大きな迷惑をかける事は法律で禁じられるが、言論の自由も、政府の放射能汚染調査を信用しないでガイガーカウンターを持って徘徊する自由もある。

金明秀氏は日本で独裁者は誰かと聞かれて以下のように答えているが、全くもって理解ができない(Twitter)。

ほとんど政治決定力の無い1億人もいる有権者が独裁者のわけが無いと思うが、社会学の常識では異なるようだ。

追記(2011/12/21 00:41):「有権者だろう?」は@takashi7zzfe氏が有権者と言う意味だそうだ。つまり、金明秀氏は日本も独裁国家だと主張したが、誰が独裁者なのか答えられないらしい。

5. 朝鮮学校関係者へのインタビューは「低劣な愉悦」か?

韓国学校と異なり、朝鮮学校は北朝鮮の強い影響の下で運営されており、教育基本法6条・学校教育法1条に定める「法律に定める学校」ではない。攻撃的で犯罪行為を繰り返す集団の『主体思想』を教育する機関であり、北朝鮮の最高指導者である金日成・金正日父子に対する忠誠教育が施されているとされる(朝鮮学校無償化手続き再開に強く抗議し即時撤回を求める決議掲示板#1#2)。荒唐無稽すぎて信じる生徒はいないと思うが、金日成・金正日父子は超能力が使えると教えているらしい。

過去の北朝鮮の行為を考慮すれば、北朝鮮影響下の機関で教育を受ける人々に公的関心が向けられるのは当然だ。インタビューの仕方はともかく、マスコミが取材対象とすることは責める事はできない。

6. 金正日の死を喜ぶのは軽率であっても、悼める人は少ない

北朝鮮の存在は日本にとって有害だが、金正日が死亡したぐらいで状況が大きく改善するわけではない。金体制自体が崩壊しない限りは、何かが大きく変わることは無いであろう。むしろ、政治的不確定要素が増えたと言える。そういう意味では、金正日の死を喜ぶのは軽率であって、賢いとは言えない。

しかし、金正日の死を悼むのは不可能だ。北朝鮮は拉致問題、大韓航空機爆破事件、超精密偽100ドル札偽造(スーパーノート)、覚せい剤密輸事件、韓国哨戒艦「天安」撃沈事件、延坪島砲撃事件、核兵器開発問題などを引き起こしている武力集団だ。その最高意思決定者が金正日であった以上、その死が多くの哀悼を集めることは無いであろう。

7. 金明秀氏の北朝鮮擁護は自己破壊的

金明秀氏は福岡朝鮮初級学校を卒業している著名な在日朝鮮人で、すぐに「バカ」「レイシスト」「愚か者」を連発し、気に入らない文句を見かけるとヘイト・スピーチだと主張する人物だ。マイノリティを自認し、日本人の主張を即座にマジョリティの差別行為だと切り捨てる。正直言って愉快な人物ではないが、日本は言論の自由もあるし、匿名アカウントへの侮辱は合法行為となっているので、受け入れざるを得ない。

ところが金明秀氏は、「程度の差はあっても(そしてその程度の差は大きいが)、日本も同じ問題を抱えている」と北朝鮮を擁護する。しかし日本は豊かだし、言論や移動の自由もあるし、少なくとも政府が拉致や通貨偽造や麻薬製造を行う事はない。明らかに北朝鮮と日本は異なる。金明秀氏が享受している自由は、独裁政権の体制国家である北朝鮮では得られない。

私には金明秀氏の北朝鮮や金正日擁護が理解できない。もはや在日朝鮮人として福岡朝鮮初級学校を卒業した経歴から、出自に考え方を囚われているようにしか見えない。彼は気付いていないのかも知れないが、彼の学者としての存在は日本の社会が支えてくれているのであって、北朝鮮ではない。自分の存在を支えている社会の脅威を擁護するのが、社会学者の仕事では無いと思うのだが、金明秀氏は気付いていないようだ。

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