2011年8月12日金曜日

原発増設は未だに既定路線

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経済学者を自称する池田信夫氏が「今から原発を新設しようとは、電力会社でさえ考えていない。つまり脱原発というのは、アンポハンタイほどの意味もない呪文にすぎない。」とブログで書いている。一見もっともそうだが、論拠を考えない素人作文だ。

原発新設・増設が未だに既定路線だと言える理由は以下のように幾つもあるので、原発新設を電力会社が考えていないと言い切るのは難しい。

  1. 平成23年6月7日に配布された官邸内・国家戦略室の「革新的エネルギー・環境戦略について」と言う資料では、原発増設が現行戦略だと明示されている。
  2. 原発の新設・増設計画で中止になったものがない。報道では中国電力は上関原発新設に向けて活動を続けている(SankeiBiz)。大間原発の新設計画、川内原発の増設計画も同様である。
  3. 価格高騰と地球温暖化問題で化石燃料の代替発電方法の必要性は変化していない(地球温暖化懐疑論批判)。特に化石燃料価格の高騰は深刻で、2008年をピークにだいぶ落ち着いたものの、2001年と比較すると近年は原油で3.5倍、LNGで2倍、石炭で4倍となっている。

菅首相が「脱原発」宣言をしたもののエネルギー戦略の見直しが行われたわけではなく、原発の新設・増設を禁止する法案が作成されたわけでもない。再生可能エネルギー特措法が脱原発を意味しない事は、池田氏自身も認識するところであろう。記者会見で首相が「個人的な思い」を述べたところで意味は無い。脱原発は政府方針として決定されたものではない。脱原発が必要だと思う人は、それを保障する法案が通るまで脱原発を主張し続ける必要がある。

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