2010年6月17日木曜日

Appleと独占禁止法

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iPodのヒットで携帯型音楽プレイヤー市場での、iPhoneのヒットでスマートフォン市場での地位を築いたApple社だが、独占禁止法の観点で水面下で調査を受けているようだ。

日本では大ヒットのiPhoneだが、実際のところは分類上の問題もあって、独占的な地位は占めているとは言えない。奇妙に聞こえるだろうが、スマートフォンの定義がガートナー流であれば、Eメールが扱えて、ケータイ・アプリが動く端末は全てスマートフォンになってしまう。より範囲を絞ってタッチ パネル付ケータイ市場でも、BlackBerryがいるので、まだ業界2位の地位にとどまっている。独占的でないのに、独占禁止法が適用されるのは不自然な感じがする。

しかし問題は独占状態にあるか否かではなく、Appleが関係者に強制しようとする各種の契約の内容のようだ。

実際問題、Apple社が問題とされるかも知れない商慣行は、ここ数年でも多岐にわたる。

  1. 2007年12月31日に、「Appleはデジタル音楽市場における消費者の選択肢を制限し,わずかしかない競争の余地を抑え込む目的で,必要ないにもかかわらず不公正な技術的制約を人気の高い自社製品に組み込み,抱き合わせ販売や独占的な行為をしている」と、米国で訴えられている(IT PRO)。
  2. 2010年4月27日に、日本の家電量販店に再販価格を維持するように圧力かけた疑いで、日本の公正取引委員会が、家電量販店のイン ターネット通販サイトでのApple製品取り扱い停止に関して注視していると報道されている。
  3. 2010年5月4日に、米連邦取引委員会が、「ソフトウエアの開発に関し、同社が指定した開発ソフト以外の使用を禁じたり、技術的なデータの第三者への提供を禁止したりしたことが問題視」して、調査を検討していると報道された(産経ニュース)。
  4. 2010年6月10日に、米連邦取引委員会が、「AppleがiOS 4で競合他社を狙い打ちした参入排除の方針を打ち出しているとされ、こうした行為が競争原理を阻害する反トラスト法違反に抵触するのではないか」調査していると報道された(産経ニュース)。

Apple社の問題点は、サード・パーティーのベンダー企業に、Apple社の都合にあわせて制約を契約で強制している事であろう。特にサード・パーティーに対して、不必要に開発方法を制約するやり方が、独占力の行使として問題になっているように思える。実際、開発者の間では、Apple社の契約内容に対する不満は高まっているように思える。

米国の独占禁止法は、時の政権の意向が強く働くといわれ、ブッシュ政権からオバマ政権に変わったことから、今後は以前よりも厳格に行使される可能性が高くなってきている。しかしながら、ほとんどの専門家はiPhoneとAndroidが競合関係にあり、必ずしもiPhone有利とも言い切れない状態にあるので、市場全体に独占力を行使していると裁判所が認定するかは分からない。

価格カルテルなどに比べると問題点があまり明確でないのだが、itunesストアやiPhoneのような「プラットフォーム」と見なせるものは、サードバーティー企業に対して一方的に制約を強いることも確かだ。この点はAppleだけではなく、プラットフォーム企業の不適切な商慣行が何かを明確化する必要はあるだろう。

現在の米国の独占禁止法であるシャーマン法は1890年、クレイトン法は1914年に制定されている。実際にApple社が起訴されるかは分からないが、20世紀の初頭に作られた独占禁止法が、21世紀の産業にどのように適応されるかは注目に値するのは確かだ。

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