2010年6月24日木曜日

不発弾について知っておくべき10のこと

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太平洋戦争の終結が1945年で65年経過したわけだが、まだ全国で不発弾の発見が収束している気配は無い。沖縄の不発弾が問題になっているのは勿論のこと、東京都でも2007年12月に渋谷区で、2008年5月に調布市で、大阪でも2008年7月に中央区で、福岡でも2009年9月に筑紫野市で、埼玉県で2009年12月に鳩ヶ谷市で不発弾が見つかっている。

意外に身近な不発弾。幸いにも、普段は生活していてお目にかかる事は余り無いが、日本人の常識として、不発弾について以下の10の事柄を覚えておこう。

1. 発見弾と埋没弾がある。
建設時などで偶然に見つかるものを発見弾、情報元に探査・発掘などを経て見つかるものを埋没弾と言う。つまり、埋没弾の除去は単純に安全性の向上だが、発見弾の除去は偶発的な爆発の危険があったことになる。
2. まだ全国に2600トンも埋まっている。
第二次世界大戦中の弾薬の5%ぐらいが不発弾になったと推定されており、その後の撤去作業や永久不明弾を除外しても、2600トン程度は全国に不発弾が眠っていると推定される。恐らく完全に除去は、今世紀中も無理であろう。
3. 年間に2000件程度、80トンほど発見されている。
工事現場から発見弾が見つかる事は多く、今でも毎年一定の不発弾が処理されている。これは国や県が、常に不発弾処理事業を進めているためでもあるが、現代日本でも常に太平洋戦争の後遺症と生活している事を再認識させてくれる。
4. 沖縄で多く見つかる。
沖縄は太平洋戦争の激戦地であり、毎年の変化はあるものの、おおよそ発見数の30%、トン数で40%は沖縄で見つかっている(沖縄不発弾等対策協議会)。
5. まだ起爆する。
不発弾撤去が順調に行われるせいか、信管が腐って起爆しないと誤解している人々もいるが、誤りだ。2009年1月にも沖縄県糸満市小波蔵で不発弾が爆発している(琉球新聞
6. 海中にも存在する。
2010年6月に、神戸市のポートアイランド付近の海中から、機雷が見つかったのは記憶に新しい(読売新聞)。爆破処理された映像が公開されており、80mの水柱があがっていることから、その威力が良く分かる。平均で年間2.8個、1.8tが処理されているようだ(統合幕僚監部資料)。海中だしまだまだ眠っている分はあるであろう。
7. 不発弾を処理するのは、自衛隊。
不発弾処理隊が組織され、自衛隊が処理を行っている。的確に不発弾を処理できるように、日々訓練を行っている(不発弾処理訓練)。反戦主義者は、安全な生活環境を作ってくれる自衛隊に感謝するべき。
8. 調査費用は、民間の施工者が負担する。
不発弾の事前調査には50~2000万円がかかると言われ、また不発弾の約4割は民間工事で見つかるが、これらは政府負担ではない(琉球新聞)。不発弾が頻繁に見つかる沖縄では、この費用負担は再開発の障害になっている。
9. 撤去費用は、国と市町村の両方で折半。
費用といっても、交通規制をしたり、防御壁や土嚢を積んだり、周辺に告知したりする作業費用を、国と市町村で折半しているらしい。沖縄県の市町村では回数が多く費用負担が多額になるため、2009年度から全額、国の負担となった。
10. 見つけた場合は、持ち歩かないで警察に連絡する。
これは当たり前だと思うだろうが、実際は移動させてしまう人がいる。2009年6月に福岡市内で小学生が不発弾を発見したのだが、母親が先生に持っていけと言って、小学生が不発弾を持ち歩く事件があった(スポニチ)。この事件では信管は外れていたようだが、場合によっては爆発する危険があるので、不発弾を見つけたら警察に連絡すること。

不発弾の問題は、沖縄の基地問題のバックグラウンドの一つにもなっているので、最近の基地問題を良く理解するためには必須の知識の一つと言えるであろう。愉快な事ではないが、これも国家の歴史、日本人の常識として覚えておくべき事柄だ。

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