ロシア軍のウクライナ侵攻開始から2週間が経過し、ロシア軍がじりじりと前線を押し込んでいる状況が続いており、ウクライナ軍の敗北の可能性が高いとされている現状だが、ロシア空軍が不活性かつ、その被害が予想よりも大きい事が指摘されている。まとめると当然だが、ロシア側の問題と、ウクライナ側の準備が寄与している。
1. ロシア側の問題
ロシア側の問題は、空爆マネジメント能力。米軍は中東で、地上部隊からの連絡を受けて、空軍の航空機が爆弾をデリバリーする体制を構築し、ピザ屋的に効率よく地上攻撃を行う体制を構築したが、どうもマネジメント技術の不足により、ロシア空軍は同様の複合的な航空作戦(Complex Air Operations)が遂行できない*1。
2. ウクライナ側の準備
ウクライナ側の準備は、NATO軍が持っている情報をリアルタイムに把握する体制。これで、NATO軍のウクライナ周辺を飛行している早期警戒機のものを含むレーダー網で、ロシア空軍の位置を精確に把握することができ*2、長・中距離対空ミサイルの移動式レーダーの放射を抑制することで、ロシア空軍がウクライナ軍の長・中距離対空ミサイルを攻撃することを困難にした*3。これでロシア空軍機が低空での侵入を余儀なくされるわけだが、西側から供与された携帯型対空ミサイルの餌食に出来る。
3. ロシア軍優勢は変わらない
現在の戦場での出来事なので想像の域を出ないが、どちらも説得力がある説である。なお、ロシア軍は砲撃で都市を破壊してから地上軍が突入すると言う近世からの攻城戦の教科書的方法、第2次世界大戦でのソ連軍の十八番に回帰しているので、航空優勢を取らせないことは戦況を大きくは左右していない。ウクライナ空軍が逆に航空優勢をとれば多段ロケット砲などを潰すことができるが、ロシア空軍を不活性にしているだけだからだ。また、ウクライナが飛行禁止区域の設定をNATO軍に頼んでいることから、不活性と言えどもロシア空軍の攻撃は戦果をあげていると予想される。
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