この呼びかけで、カルビン・クーリッジ第30代アメリカ合衆国大統領の「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である」と言う言葉が引用されていた*1。リフレ派の人が、反緊縮のメッセージだと受け取ったらしい。米国史に詳しい人は噴き出してしまうかも知れない。これは減税を推進するメッセージではあるのだが、緊縮財政を否定するものではないからだ。むしろクーリッジ大統領は、緊縮財政の守護天使のような存在であった。
クーリッジ大統領は任期中に減税を繰り返していたが、減税幅を超える歳出抑制で財政黒字化を実現しており、デフレにも関わらず累積債務を四分の三に減らしている。農家への補助法案も自立すべきと言う理由で拒否権を発動しているし、経済好調な狂騒の20年代であったこともあるのだろうが、景気対策はしていない*2。『ただひたすらに「頑張る」というスローガンだけで、たいていの問題は解決できる』と言う名言が残っているそうだが、大恐慌以前の市場原理主義者、シバキの代表と言ってよいであろう。
クーリッジ大統領が今の日本の支配者になったら、政府累積債務に目を丸くして社会保障費の削減に励むのでは無いであろうか。当時の連邦政府と今の日本政府の役割の違いや、金本位制度と管理通貨制度の違いをどう考えるかは分からないが、リフレ派が緊縮財政として認定する基礎的財政収支の黒字化ぐらいは必要としそうである。緊縮反対を訴えるにしろ、他の人物の言葉を引用した方が縁起は良いかも知れない。
*1目撃したツイートは、以下である。
緊縮財政を主張する全ての皆さまへ pic.twitter.com/uklBZhpGq1
— 串焼き 東京壁蹴り代行㈱第一開発室 室長 (@dr_kusiyaki) 2016年8月13日
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