労働時間にかかわらず賃金が一定になる雇用制度だが、「幹部候補」などに限定して年収の条件を外すと報じられ(朝日新聞)、ネット界隈では制度を悪用する企業が増えるのではないかと危惧されているようだ。しかし、これは杞憂に過ぎないように思える。朝日新聞のサイトに会員登録するのが嫌なのか、以下の部分まで読んでないのが分かる。
働き手の過半数が入る労働組合がある企業を対象とし、本人の希望で適用する。また、長時間労働を防ぐ対策として、労働時間の上限や年休の最低取得日数も明確にする。そうした制限を超えて働いた場合、労働時間に応じて賃金を支払う従来の仕組みに戻す。
当初はホワイトカラーエグゼンプションのような、雇用主が全く残業時間を管理しない制度を意識していたのだと思うが、現行案では雇用主は労働時間の把握が必要だし、一定時間を越えたら残業代が出ることになるので全く違う制度になったと言って良いであろう。これでは現状の「みなし残業制」と変わらない。どうも形式的に改革をした事にして、政治的に成果をアピールするのが目的になっているようだ。
労働者が業務量や労働時間を自己決定できる職場であれば、ホワイトカラーエグゼンプションは合理的になると思われる*1。しかし産業競争力会議が言及する「幹部候補」が業務量や労働時間を自己決定できるとは思えないし、専門職であるコンサルタントでも上司が期待値(=業務量)を決定するので労働時間は長くなっていたりするのが実態であろう。産業競争力会議は「残業代ゼロ」が必要な人物像を描くことに失敗して、制度改革の方向性を見失ったようだ。
追記(2014/05/28 19:22):正確には「みなし残業制」は「みなし労働時間制」と言うべきだとツッコミを頂いた。
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