2020年4月15日水曜日

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に永続的な免疫がつかないとすると

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当たり前なのだが、風土病になる可能性が高い*1

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、SIRモデルで今後を予想する事が多いのだが、風邪を引き起こす旧型コロナ・ウイルスは感染して治っても、一年ぐらいで抗体を失って再感染するようになる*2。SIRモデルで考えていると、脅威を過小評価することになるかも知れない。免疫が喪失されるようにSIRモデルを拡張したSIRSモデルを計算するのも容易なので、試しにやってみよう。

教科書例*3とノーテーションが異なると言うか、2つ変数を増やしているが、人口に対するt期の感受性保持者の比率(St)、感染者(It)の比率、免疫保持者(Mt)、未感染者(Nt)、回復者(Rt)の比率を決定する微分方程式モデルだ。

SIRモデルと異なり、+ξM項が加わっている。

SIRモデルと異なり、-ξM項が加わっている。本質的な違いはこれだけ。

上の二つは、回復者(Rt)を計算するためだけに追加した式。

SIRモデルと同じ、総人口が1で一定とする制約式。

感染率βはR₀=2.5になるように、回復率γは平均9日間で半分が陰性になると言う中国の経験にあうように、免疫喪失率ξは1年で9割の人が再感染しうるように設定する。初期値は3月上旬の日本の累計感染者数387名、退院80名、暗数7割から設定した。数値演算とプロットは借りてきたコード*4を書き変えた。

意外性は全くないが、SIRモデルと違ってずっと感染者がいることになり、つまり風土病になる。人口の6%ぐらいがずっと感染しているので、重症化率から病院のリソースを永続的に占めてしまう。収束するまでは、感染の拡大と縮小を繰り返すようだ。工夫しないと推定が困難そうなのはさておき、風土病になる以外はSIRモデルと同じような特性があって、R₀(と言うかβ)を抑えればピークの感染者数を抑制することができる一方、ピークが先延ばしになることなどは変わらないので、SIRモデルを前提にした説明が悪いとは言えない。試しにR₀=1.3にすると以下のようになる。

無限先の時点では全員が感染することになるのは、SIRモデルと異なる。

このプロットだけを見れば、根絶してしまった方がすっきりすると感じるであろうが、政策的には根絶を目指すか、諦観するかは意見が分かれそうである。ここまで広まった飛沫感染するウイルスを、ワクチンなしで根絶するのは人類未踏の領域だ*5。免疫獲得が無理と言う事はワクチン開発には期待できないので、今よりも強い社会的隔離、社会的予防を長期間行う必要が出てくる。恐らく年単位。今の重症化率、死亡率であれば、永続的に肺炎死亡者を削減し、医療リソースを節約できることになるが、ウイルス自体が弱毒化したり、抗ウイルス薬が開発されたり、再感染時の重症化率が低い場合は、費用対効果は落ちることになる。

*1人々の接触範囲が狭く免疫の持続時間が十分に長いと、SIRモデルと同様に感染症者は消失することになる。

*2緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)|Web医事新報|日本医事新報社」に、以下のようにある。

再感染の時期については,粘膜感染のウイルスは,粘膜の免疫が一度産生されたIgA抗体の消失まで約6カ月続く。そのため,3カ月までは再感染せず,6カ月ぐらいでは再感染するが発症せず,1年経つと以前と同様に感染し発症するとされる。

*3SIR and SIRS models — Generic Model documentation

*4SIR model with deSolve & ggplot2 | R-bloggers

*5SARSは根絶できているかも知れない。

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