2020年4月23日木曜日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、新規陽性者数がピークアウトした後も、しばらくは入院者数と死亡者数は増える

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先週ぐらいから新規感染者数が減っているとされる一方、死亡者数が増えていることに対して、政府がPCR検査を絞っているから陽性者数の増加をキャッチできていないからだと言う主張があるのだが、PCR検査基準が変化しているわけではないし、新規感染者数と死亡者数の推移にはラグがあることに注意して欲しい。

既に明確にピークアウトしていて、ある程度は先進的な医療サービスがある韓国の数字を確認してみよう。MERS騒動の反省からか、新種の感染症は日本よりずっと手際よくやっているように見えるが、そこは気にしない。ラグの程度は陽性者数の増え方と減り方に依存するのだが、日本と比較して急増急減している韓国の場合は、入院者数が約11日、死亡者数が約23日、ピークアウトが陽性者数の後に来た

上は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)新規感染者数と患者数と退院者数の推移。新規感染者数のピーク後、11日後から患者数はピークアウトして減り始め、3週間してから退院者数がピークアウトする。入院してから治って退院(もしくは死亡)するまでラグがあるので当たり前の話である。

入院から退院まで何日ぐらいかかるか気になるところだが、参照したデータソースの個票データには退院日の記載が省略されているレコードが多く、まだまだ入院中の人が多いので集計データからも平均値は出せそうにないので、指数分布に当てはめて期待値を計算してみた。最低2週間は隔離措置になるようなので、

を推定したあとに、以下のようにβから指数分布のパラメーターλを計算する。

これで、ある日時に回復する比率を表す密度関数が求められるので、入院日数かけて数値積分し、期待値を求める。回復が2週間未満の場合でも、入院は14日間になることに注意されたい。

4月20日までのデータで、24.371日(95%信頼区間23.211日~25.669日)。R²は0.957なので良い当てはまりである。武漢の話だと入院から期待値で13日で陰性だったのだが、当初考えられていたよりも回復まで時間がかかるものかも知れない。

閑話休題。

感染者数と死亡者数の関係は上の通り、ピークに約23日のラグがある。死亡者数の予測値がくねくねとしていて気持ち悪いが、絶対数が不足しているためか、初期に宗教団体の若者が大量に感染した影響のためかであろう。

韓国と日本のデータを比較すると、日本の方が特に減少に転じてから変化がなだらかなので、韓国よりもラグは長くなりそうである。こういうわけで、しばらく死亡者数が増えていても状況が悪化しているとは言えないし、死亡者数での国際比較は少なくとも4週間ぐらいは意味をなさない。また、医療現場も2週間ぐらいは逼迫していくので、そこからの悲鳴は事態の悪化を意味しない蓋然性が高いことに注意しよう。

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