2018年4月11日水曜日

愛媛県職員の忘備録にある「首相案件」の信憑性

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2015年4月2日、総理官邸を訪問した愛媛県職員の忘備録が発見され、そこに柳瀬唯夫総理秘書官(当時)と面談したと言う事と、「首相案件」と書いてあったことが話題になっている。加計学園系列の岡山理科大学が獣医学部を今治市に設置することに対しての認可を巡っては、安倍総理が個人的関係を重視して特例を作り、優先的に処理をした疑惑が持たれているが、総理秘書官の関与*1及び「首相案件」の記述は、その傍証になる。ところでネット界隈の安倍総理の支持者からは、その信憑性に疑問が投げかけられているのだが、さすがに無理があるので指摘したい。

柳瀬経済産業審議官は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」とコメントを出しているのだが、柳瀬氏の過去の発言によると当時の面会に関して記録を残していないので、氏の発言の信憑性の方が低い。「外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」と言う部分はそれらしいが、加計学園に関連しては無いはずの文書が大量に漏洩されている異常事態である事を考えると、それらしいだけでは信じるわけにはいかない。出張報告書ではなく口頭報告のための忘備録である事を差し引いても、愛媛県職員がこの問題を大きくする事で得る利益は無いわけで、信憑性は高い。

また、国家戦略特区が総理大臣主導で進むことから、愛媛県職員が首相案件と判断したと言う言説も見かけるのだが、忘備録に『柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00「国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う」』とあるので、国家戦略特区と言う仕組みから首相案件と愛媛県職員が判断したとは言えない。「本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」と後に続く部分を見ても、国家戦略特区ワーキンググループを案内していない。

*1今治市職員と加計学園事務局長も同行していて、柳瀬氏との面会があったことも既報ではあるのだが、柳瀬氏がそれを否定していること、今治市が出張報告書(首相官邸訪問記録)を2017年6月から非公開としたことから、なお重要な事項となる。

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