2018年3月5日月曜日

Fedの量的緩和は長期金利を1%ポイントも引き下げていない

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ジェームズ・ハミルトン御大*1を含む経済学者が、従来研究だとFedの量的緩和(QE)は長期金利を1%ポイントほど引き下げたと言われていたのだが、イベントの範囲を広げ、分析期間を長く取って、ビジネス誌の解釈から市場期待との一致程度を考慮してイベント・スタディをやり直したところ、Fedの声明には持続的な効果がなく、市場期待を裏切る場合でも長期金利に大きな影響はなかったと主張している*2。中央銀行の景気対策としては、大規模資産購入(LSAPs)ではなく、やはり政策金利の操作の方が効果的だそうだ。

ゼロ金利のときにどうすれば・・・と言う感じだが、次の景気後退までには金利を上げないといけないのであろう。急いであげろと言っていると解釈している人がいたが、そこまで言っているかは自信が持てなかった。96ページもあるので中身はほぼ未チェックなので、どれぐらい信頼すべき話かは保留だが、誰もが納得するような大きな効果では無かったとは言えるであろう。しかし、目を離している隙に長期金利を引き下げる効果があると主張している研究が多々出ていたようで、ちょっと驚いた。

*1時系列分析の教科書を書いているので、お世話になった人が多いと思う。

*2元論文は"A Skeptical View of the Impact of the Fed’s Balance Sheet"、それを紹介した記事"Fed should lean on rate cuts, not QE, in next recession: paper | Reuters"、himaginary氏の関連記事「量的緩和の効果は過大評価されているのか?

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