2017年11月5日日曜日

ジェンダー・ギャップ指数では中国社会の闇は測れない

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天文学者の中島淳一氏が、少なくとも日本よりは中華文化圏では女性が活躍しているから、中国が日本よりも男女平等だとしても不自然ではなく、ジェンダー・ギャップ指数*1の信頼性を揺るがすものではないと主張している*2。これに対して、ジェンダー・インバランス、つまり新生児性比が男児に大きく偏っていることを理由に、男女平等社会だと考えるのはおかしいと言う指摘がされている*3。著しい男女差別があるのでジェンダー・インバランスになっているのは確かで、ここの部分を差し引かないといけないのは確かだ。

1. 戸籍に載らない女の子たち

ジェンダー・インバランスが生じる可能性は大きく二つあり、一つは出生前診断による中絶や嬰児殺しによるものと、一つは(2015年までの)一人っ子政策によるペナルティー避けるための出生届けの忌避だ。中絶や嬰児殺しも問題ではあろうが、それだけであれば物心ついた後に男女不平等な事はない。女児の出生届けの忌避は、公教育などから女児が漏れることになるので、男女の就学・就労機会が大きく損なわれることになる。中国の場合はどうも出生届けを忌避しているらしく、見届けの女児は結婚を機に戸籍に載るそうだ。1990年の出生数を見ると男児の出生数の方が多かったのだが、2010年の20歳人口を見ると総人口も400万人増えた上に、女性の方が100万人多くなっている*5

2. ジェンダー・ギャップ指数の低い意義

数百万と言う数で分かるが、ジェンダー・インバランスの程度は小さく無い。自然状態では105:100と言われる男女出生比が、中国は2012年で116:100となっている。中絶や嬰児殺しが無い場合、小学校にもいけない女性が、1割強、存在するわけだ。ジェンダー・ギャップ指数を計算する元となる統計が、戸籍に載らない(元)女児たちの存在に影響を受けるのかは確認できなかったが*4、小学校に通うこともできない女性が一割もいる社会よりも日本の方が男女不平等だと言うのは滑稽である。また、ジェンダー・ギャップ指数は、男女の選好の違いを考慮せず、妙に政治参加に高いウェイトを置いている、女性参画を訴えるための指標であって客観性に劣ると言う批判もある。

3. 中国の都市部と農村の違いと急速な変化

中国社会の男女の扱いは、女性の外部労働参加率上昇・職種の拡大・職位の上昇を促進してきたが中国共産党の意向と、(特に農村部の)中国人民の意向が複雑に絡み合ったものになるので、個人の体感や単純化した指標では捉えづらい。上海などの都市部の高学歴の女性を見て、中国全体の女性の扱いを推測するのは無理である。

時代の変化もあって、それは必ずしも平等性を増すように動いてはいないようだ。改革開放路線の影響で、最近は男女の賃金格差が拡大している*6と言う話もあり、フェミニストが日本のベンチマークとして持ち出すのもやめた方が良いかも知れない。米国も女性の労働参加率が低下しておきており、やはり北欧あたりの方が後でひっくり返らない安心感があると思う。

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