2015年2月9日月曜日

疑似科学ニュースの雇用に関する認知的不協和をつついてみる(5)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

偽科学の信奉者は、手前勝手で論理的な根拠を欠くデータ処理を行なったグラフを作成することが多いし、処理方法を公開しないことが多い。疑似科学ニュースのメカAG氏も偽科学の信奉者らしく、作成方法不明のグラフを公開していた。メカAG氏が読んでいる科学読本には科学は手順が大事だと書いていなかったのであろうか。私の説明に従っていると書いてあるのだが、数字的にあわない。

1. 作成方法が不明なグラフ

意味不明なメカAG氏のグラフを引用しよう。横軸は年だと言うのは分かる。「差」と「差の差」と書いてあるのだが、一階階差でも二階階差でもない。1未満の縦軸のスケールから考えて何かで割っているようだ。わざわざ万人単位の統計を、100万人単位などにしないであろう。季節調整値や原数値でそれぞれ差分をとって、前月や前年の値で割ったりもしたのだが、再現できなかった。

メカAG氏は「uncorrelatedの説明に従って俺がほぼ同じことをやるために描いたグラフ」と言っているのだが、自分の過去の説明を探すと「トレンドを、⊿n月値=n月値-(n-1)月値と定義する。トレンド変化は、⊿n月値-⊿(n-1)月値」と書いてある。一階差分がトレンド、二階差分がトレンド変化。これに従えば、一階差分の縦軸は-50から60の間になる。二階差分は-70から70の間だ(下図)。

追記(2015/02/12 10:48):横軸を年表示に変更した。

2. 説明通りだとしても影響は無い

実はメカAG氏のグラフが一階差分や二階差分を正確に表示しているとして、モデルから演繹される議論は変わらない。メカAG氏が主張するように一階差分がV字や逆V字で変化するとして、それは元データが階段状でないことを意味するし、二階差分を取ってV字の底や逆V字の頂点が特定月に偏るのであれば、二階差分の絶対値の平均も偏ることになる*1。メカAG氏は本当にモデルを元に数字を考える事ができないようだ。

3. メカAG氏は認知的不協和を起こしている

メカAG氏がよほど愚かな上に凡ミスを行なったのでなければ、認知的不協和を起こしていると言わざるをえない。一階差分や二階差分の集計値は、メカAG氏の主張がデータの上では全く支持されないことを明確に示す。だから、反論するデータが欲しくて、恐らく無意識にデータを捏造し、しかもそれに意味が無いことに気づいていないのであろう。

4. メカAG氏はyes/noの質問にすら答えない

もし認知的不協和を起こしていないと思うのであれば、こちらから投げているyes/noで答えられる質問に、yes/noで答えて欲しい。メカAG氏が言いたいことと少しずれていたとしても、yes - しかし関係ない、no - しかし関係ない、などと続けることができるはずだ。二つ、再掲しておこう。

  1. 毎年4月に年間の雇用が決定されると言うメカAG氏の持論から、2012年9月以降の就業者数増加で、2012年11月以降とされるアベノミクスで雇用が増えたと言えるのか?(yes/no)
  2. ICRPの防護モデルはDDREFありのモデル以外が存在するのか?(yes/no)

最初の質問は、メカAG氏が立てた「雇用が増えたのはアベノミクスのせいじゃない?」と言う問いの正当性に関わるものだ。yesと答えれば、11月の事件が7ヶ月より前の意思決定に反映されたことになる。noと答えれば、アベノミクスで雇用が増えたとは言えないと言う説に賛成していることになる。

二番目の質問は、ICRPの防護モデルを自説の根拠に使い続けているメカAG氏の低線量被曝の説の正当性に関わるものだ。yesと答えれば、世に知られているICRPの防護モデルは一つしかないので、メカAG氏は夢の世界を生きていることになる。noと答えれば、メカAG氏の今までの主張は根底から崩れる*2

偽科学の信奉者は、yes/noで答えられる質問を無視をする傾向がある。yesでもnoでも自説が破綻する両刀論法であることに本能的に気づくのであろう。メカAG氏も問いに答えることは無く、他の話を長々と書き出すと予想している。質問に答えると、出鱈目な主張をしていたことを認めざるをえなくなるからだ。つまり、認知的不協和を起こすことになる。

0 コメント:

コメントを投稿