2014年6月30日月曜日

ロシアの高速増殖炉が臨界に達する

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2014年6月27日にロシアのベロヤルスク原子力発電所4号炉が臨界に達したと報道されていた(wnn)。設置されているBN-800型原子炉は冷却材にナトリウムを使ったもので、789MWeの出力を持つそうだ。日本のもんじゅも既に臨界に達しているが280MWeなので、随分と先を行かれた感じだ。もっとも高速増殖炉が本当に有用になるのは、核燃料サイクルが回りだしてからの事になる。この点では日本でも前進が見られる。

マイノリティの社会学用語としての意味なんて知ったこっちゃない

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いつから「マイノリティ」が少数派のことだと勘違いしていた?』と言うエントリーが人気になっていた。曰く、人数的に多数派であっても、権利や機会が抑圧されている被差別集団であれば「マイノリティ」と言うそうだ。それ、社会学用語の意味であって*1、一般用語ではないから。Are women a minority group? why?と言う質問がYahoo!Answersにあるし。しかも、英語ではMinorityでは無くて、Groupを省略する場合も多々あるようだが、Minority Groupになるから*2

米国で新兵の質が低下中

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米国防省によると、米国の17歳から24歳の3400万人の約71%が、健康、身体的風貌、学歴が理由により兵役に適さないそうだ。典型的な不適格者は、高卒資格もしくは一般教育修了検定(GED)が無く、重罪を宣告され、注意欠陥過活動性障害(ADHD)の処方箋を飲んでおり、刺青やピアスの穴がありすぎるらしい。適格者で興味を持ってくれるのは、たった1%に過ぎないとのこと。米軍は採用基準を緩めており、2001年には90%あった入隊者の中の高卒資格者は、2007年には79%になっているそうだ。イラク戦争の間、肥満についても基準を緩めていたらしい(Time)。

2014年6月28日土曜日

企業会計が不勉強な経済評論家

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経済評論家の池田信夫氏が『「内部留保」はなぜ増えるのか』と言う奇妙なエントリーを書いている。既に経理や会計に詳しい人が散々とバカにしているらしいのだが、企業会計の知識がないのか、用語の使い方からおかしい事になっている。理解していない用語で議論すれば、当然、その結論もおかしくなるわけで、問題エントリーもその例外ではない。

2014年6月27日金曜日

中国共産党は中華思想を否定している

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中華思想と言う単語でTwitter検索をすると、まるで中国共産党が中華思想に沿って対外拡張政策を取っているかのような呟きが多く見られる。中国も調印しているはずの国連海洋法条約を無視した主張を繰り広げている中国共産党が、躊躇無く周辺各国と紛争を起こし、手前勝手な主張をしている事は確かだ。しかし、中国共産党が中華思想に沿っていると言うのは誤りだ。中国共産党の理論構成は、決して中華思想では無い。

2014年6月26日木曜日

あるマルクス経済学者のプロパガンダ(8)

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マルクス経済学者の松尾匡氏の連載の続き『新スウェーデンモデルに見る協同組合と政府──「転換X」にのっとる政策その3』が公開されていた。拝読したのだが、やはりマルクス経済学者は、経済学の用語や概念を理解していない事が多いのであろうと言う印象を受けた。この連載、マクロ経済学の著名モデルに対して誤解があってそこが気になっていたのだが、今回はミクロ的な部分に勘違い見られる。特に気になったのは二点で、一つは用語定義の部分で、一つは視点の置き方だ。

2014年6月22日日曜日

小保方劇場の終幕は再現実験

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論文の主張を支える全ての実験の信頼性が失われただけではなく、その正体が他の幹細胞であった可能性が色濃くなり捏造事件の可能性が極めて強くなったSTAP(幹)細胞に関する理研の小保方晴子氏らの研究だが、理化学研究所の上層部は小保方氏が参加した検証実験を行う考えのようだ*1。小保方氏らを擁護する動きだと批判する人々もいるが、むしろ劇的にトドメを刺したいように思える。実際は実況見分にしかならないからだ。

2014年6月13日金曜日

文系が「ガロア理論入門」を読むとどうなるの?

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線形代数と群論の復習をかねて、名著と名高い大数学者アルティンの「ガロア理論入門」を読み始めてみたのだが、動悸と息切れが止まらないので紹介したい。数学科の3年か4年の学部生が履修すると言う体論の本なのだが、純粋な文系の人でも5次以上の一般方程式は累乗根で解けないというアーベルの定理まで到達する事ができる*1し、演習問題もついているのでお買い得感がある。

2014年6月11日水曜日

実質金利が均衡値なのに不安定でバブル発生?

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前回の「クルッグマンのインフレ療法は加速しない」に関して「人口動態、長期金利、定常不況」と言うエントリーで反論が来た。曰く、期待インフレ率を引き上げて均衡実質金利を達成しても維持する事が困難で不安定だし、資産バブルが発生する可能性高いそうだ。様々な経験則から考えてこの二つを危惧することは不自然ではないが、少なくともクルッグマンが提示している前提からは導き出せない結論なので、問題点を指摘したい。

2014年6月10日火曜日

クルッグマンのインフレ療法は加速しない

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クルーグマンのかんたんな「長期停滞」克服法は機能するのか?』と言うエントリーで、人口増加の鈍化による投資需要の減少を高いインフレ率で補おうとするノーベル賞経済学者クルッグマンの療法は、インフレ加速していくと議論をしている。しかし、ルーカスのインフレ加速の議論を連想しているのだと思うが、クルッグマンの療法自体はインフレ加速しないようになっている。

2014年6月9日月曜日

経済学における歴史の重要性

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労働問題の専門家の濱口桂一郎氏の「日本の雇用と中高年」を大内伸哉氏が批判していて、濱口氏が返事を書いている。大内氏の批判は、濱口氏の著作は歴史や資料に力点が置かれており、それから導き出されるメッセージが弱いと言うもののようだ。ジョブ型契約にしなくても配置転換による中高年追い出しは権利濫用だから無効と言う議論は置いておいて、経済学に関して濱口氏のちょっとした誤解を解いてみたい。まともな経済学者はそれなり歴史を気にしているから、「歴史なんかは趣味人の手すさび」とは考えていないと思う。

2014年6月6日金曜日

遺伝子解析結果:STAP幹細胞は最初からありません!

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Nature News Blogに、そんな事が書かれている。内容はソースが日本のメディアなので当然だが既報のものだが、共著者の山梨大学の若山氏がSTAP幹細胞からつくられたクローン・マウスの遺伝子解析を外部機関に解析を依頼したところ、元マウスの遺伝子と合致しない事が分かったことが紹介されている。以前にも予備実験でクローン・マウスの遺伝子解析におかしい点が見られる事は報道されていたが、論文で言及されたクローン・マウスがSTAP幹細胞由来では無い事が確認されたのは、やはり大きいであろう。

ミクロ計量分析の常識が身につく『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』

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各章のサブタイトルがアニメや時事ネタのパロディーになっていると話題の『実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法』だが、法学セミナー連載「法律家のための実証分析入門」をまとめたもので、連載時の原稿が著者の森田果氏のページに微妙な形(dvi形式)で公開されていたので幾つかの章を拝読してみた。面白いし、ミクロ計量分析の常識が身につきそうで、分野外の人や学部生が読むと丁度よさそうな感じになっている。

で、労働時間の上限規制を無視されたらどうするの?

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労働問題の専門家である濱口桂一郎氏と安藤至大氏が、実効力のある*1労働時間の絶対上限規制を設けるように主張している*2。日本では労働時間の上限規制は重視されて来なかったのだが、人間が一定期間で健康的に働ける時間には限度がある。そういう意味では自然な規制で、彼らの主張も理解できるのだが、制度設計の面から見ると疑問が残る。

これはダメぽ:東日本大震災/福島第一原発事故による死産と乳児死亡の時系列変化

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岩波書店の「科学」と言う一般向け雑誌の6月号に「東日本大震災/福島第一原発事故による死産と乳児死亡の時系列変化」と言う論文が寄せられているのだが、査読論文だったら一発リジェクトされそうな内容になっている。すでにTwitter界隈でダメっぷりが議論されているのだが、どうも論文著者は東日本大震災での被害は放射性物質による汚染しか無いと思い込んでいるようだ。

2014年6月2日月曜日

米仏比較すると失業保険が怠け者を作らない事が分かる

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ノーベル賞経済学者のクルッグマンが、"Cheese-eating Job Creators"(邦訳:フランス版「雇用創出者」さま)と言うエッセイで、米国とフランスの25から59歳の就業率を比較すると実はフランスの方が高い事を指摘している。就業率は人口に占める実際に働いている人の割合で、失業状態の人や、さらに求職をあきらめた人が多くなると低くなる。指摘の詳細は邦訳を確認してもらうとして、米国よりも充実した失業保険のあるフランスの就業率が高いのは興味深い。幾つかのマクロ経済理論では、失業保険などが労働意欲を抑えることになっているからだ。

2014年6月1日日曜日

あるマルクス経済学者のプロパガンダ(7)

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マルクス経済学者の松尾匡氏の連載の続き『ケインズ復権とインフレ目標政策──「転換X」にのっとる政策その2』で、ケインズ経済学が賃金や価格の硬直性を問題とする説から、流動性の罠による実質利子率の高止まりに移っていき、流動性の罠からの脱出方法としてインフレ目標政策が提案されていると紹介している。しかし用語の使い方が妥当なのか気になるし、関連するデータをしっかり確認しているのかは疑問が残る。また、小野理論をイメージして説明するとあるのだが、当の小野氏の著作『貨幣経済の動学理論』では起きないと明記されていることが主張されている。