2014年9月27日土曜日

軟弱な文系のための『ルベーグ積分から確率論』

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不要な知識と言えばそうなのだが、確率論や経済学の理論論文で測度と言う概念を見かけることがある。ルベーグの収束定理、フビニの定理、あとは発展として中心極限定理ぐらいしか言及されない事が多い気がするのだが、何か小難しく偉そうで癪に触る。

どんなものかと定番テキストの伊藤(1963)を読むと、測度の所と積分の定義で挫折しそうになる。応用がどうなっているのか理解できそうにない。そんな私のような軟弱な文系向きの本が、『ルベーグ積分から確率論』だ。

前半部分を占めるルベーグ積分に関しては、内容はかなり絞られている。加法的集合函数についての議論は脚注のルベーグ・ステルチェス積分だけになっているし、驚くべきことにカラテオドリの外測度についても言及されていない。ルベーグ測度があれば問題ないと言えば、問題ないわけだが。シュワルツの不等式で完備が云々と言う話にも触れられていないし、当然、ベール函数のような何かヤバげなものも登場しない。

中盤から後半のルベーグ積分の応用事例にあたる確率論に関するところは、比較すると分量が厚い。そう派手に用いられていると言うわけではないが、ルベーグの収束定理やフビニの定理が有用な事が、確率論と言う文系にも身近な実例を通して分かるのは有り難い。ファイナンスの教科書のマルコフ過程の説明は手短過ぎるきらいもあるので、ファイナンスを勉強したいと思っている人はランダムウォークのところは有り難いであろう。またベイズ推定で使うMHアルゴリズムの理解に定理6.8が役立った。

内容がコンパクトになっている分、証明の行間を埋めるのが大変だと言う声はネット上で散見される。厳密に証明を追いかけたい人向きの本とは思わないのだが、伊藤(1963)と比較すると淡白な感じはするので、用途によっては向き不向きは出そうだ。そう、ルベーグ積分を知ったかぶりするためにはカラテオドリについて知っておく必要がある*1と思うのだが、やはりそれに触れられていないのは残念でならない。

なお末筆ながらこんな事を言う人が漂っているので、ネット上では知ったかぶりせず、酒席などに留めておくことを推奨しておきたい。

これ、一点からなる集合の外測度はゼロ、有理数全体は可算集合だから、その全体の測度も外測度の劣加法性でゼロとか言うとぶっぶーっていじめられる罠だと思う。

1 コメント:

Yukito Iba さんのコメント...

それで合ってるにきまってるじゃん.

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