2013年7月2日火曜日

空気抵抗なども含めて古典物理学

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

某所で古典物理学を引き合いに出して、バイアスや誤差があるから観測データから機械的にモデル化はできないと言う主張をされている。

モデルを機械的に作れと言っているのではなく、統計解析と整合的なモノを作れと言っているので、論点が噛み合わないなと思っているのだが、そもそも古典物理学と観測データの間に、バイアスや誤差がそんなにあったのか気になった。

誤差とバイアスとして風向きと空気抵抗が上げられているのだが、まずは実験室を使う事で風の影響は排除できる。この誤差は無かったであろう。空気抵抗の方は、古典物理学の形成期には真空実験はできなかったので、確かにこのバイアスは問題になったはずだ。大きさはどの程度なのであろうか?

材質の異なるピンポン玉サイズのボールを考えよう。空気抵抗係数は0.3ぐらい。ボールの半径は2cmと置く。空気密度を1.2Kg/m3だとして、空気抵抗は0.0002261947*v2ぐらいになる。ここでvは速度。材質ごとの比重を考えよう。鋳鉄7.05、大理石2.68、木材(杉)0.38。ピンポン玉の体積は0.03351032Lぐらいなので、重さが出る。236g、90g、13g。

これで落下にかかる秒数の計算ができる*1。55mあるらしいピサの斜塔から三素材のボールを落下させた時にかかる秒数を計算してみた。鉄が3.350953秒、大理石が3.353877秒、木材が3.382701秒になる。気圧や風向きで変化しそうだが、同時に二つのボールを落とすなら、それらは同時に影響されるはずだ。計算が正しければ、1%もバイアスは入らない。

アリストテレスの落下速度が重さに比例すると言う主張を否定するのには十分だ。この程度のバイアスなら無視・・・いやいや、二重基準になるから無視はできない。ガリレオも空気抵抗が無ければ成立すると言っているし、ニュートンの「プリンキピア」にも空気抵抗があるケースの自由落下運動のモデルがある。あ、空気抵抗も計算のうちじゃん。そもそも良く考えたら、ニュートンの抵抗法則と言うし。

*1速度の計算は1階線形非同次の微分方程式を解いても良いようなと思いつつ、「物理のかぎしっぽ」を参照した。時間の計算は速度を積分して55mになる時間をRに探させた。

0 コメント:

コメントを投稿