2013年7月11日木曜日

景気対策としての土木事業の終焉

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過去のデータから、近年の日本は公共投資は効果薄で、減税は無駄だと言われているが、それをサポートするような現象が続いている。つまり、東日本大震災の復興事業により、建設労働者が不足している。古典的なケインズ政策が想定している状況とは、ちょっと異なる。

当初は、被災地で人材・資材不足の深刻化が報道されていた。通常は数%の入札不成立が、2012年4月から2013年1月まで、仙台市で49%、宮城県で38%に達したらしい。特に鉄筋工や型枠工、左官など技能を持った労働者の不足が深刻だそうだ(NHK)。

地元の建設業者を使おうとしてキャパシティー不足になったのかと思いきや、そうでもないらしい。最近になって、北海道で入札を行った公共事業の入札不調が7%と倍増していると報道があり(NHK)、被災地だけの問題でも無い事が明らかになりつつある。

労働供給が不足しているときの解決方法は、労働者の賃金の引き上げだ。建設業で賃金上昇見込む会社が大幅に増加し(ケンプラッツ)、国土交通省も建設労働者の賃金引き上げを画策して、公共工事設計労務単価を全国平均で前年度比15%ほど引き上げる方針だ(日経)。

建設業界の短期的な調整能力の問題であれば、技能資格の取得者が増加していくはずだが、未熟練労働者が余っていると言うわけでもない。被災地では食料品製造、保安、介護、小売りでも求人難であるし(Iwanichi online)。日本全体でも雇用関連DI(業況判断指数)は、数字はやや鈍化するものの改善状態が続いており、人手不足感が強まって来ている(マイナビニュース)。

公共投資の規模は、1996年のGDP比6.2%が、2008年には3.0%に落ち込んだ(図録▽公共事業の動向(日本と主要国))。財政赤字削減と言う目的もあるが、少子高齢化を睨み公共サービスの規模も縮小していく状況にあると言える。この状況で、一時的なブームに惹かれて建設労働者になる人間は、そうはいない。不足していると言われるセメント製造施設などへの投資も、減価償却期間を考えると、安易にはできないのであろう。

本当に“非自発的労働者”が街に溢れているのであれば、賃上げなど無くても労働者の確保に苦労しないであろうし、今の日本が古典的なケインズ政策が想定している状況と異なるのは確かだ。最近の失業率の低下や、雇用者数の増加にも関わらず、公共投資の拡大を訴える人々は少なく無いのだが、彼らは現在の雇用情勢を、どのように考えているのであろうか?

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