2011年9月22日木曜日

消費税は本当に逆進的か ─ 逆進的です

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大阪大学の大竹文雄氏と小原美紀氏が、2005年とだいぶ前になのだが、「消費税は本当に逆進的か」と言う記事を出している。

消費税が逆進的になる理由は、高所得者は低所得者よりも消費性向が低いと言う明白な傾向から言えるものだで、それに疑義を投げかけており興味深い。しかし、奇妙な話になっている。

1. 生涯消費性向で考えると、消費税に逆進性は無い?

大竹氏と小原氏は、現役中における両者の消費性向の差を認めつつも、引退後の年金生活における消費も加味して考えるべきだと主張している。つまり、ライフサイクル仮説によると、老後においては貯蓄を切り崩して消費を行うので、高所得者と低所得者の生涯消費性向の差は、現役時代の消費性向の差ほど大きく無いそうだ。高所得者と低所得者が貯蓄を使い切って死ぬなら、消費税負担率は生涯所得に関係なく一定になる。大竹氏・小原氏の試算では、むしろ累進課税になっている。

2. 金持ちと貧乏人は、生涯消費性向でも明確に差がある

奇妙な点を五つあげよう。第一に、高所得者は資産を残して死亡するので、生涯消費性向は高所得者の方が低いのは明白だ。第二に、ライフサイクル仮説が成立して、高所得者が老後も同じ消費レベルを維持するとは限らない。第三に、もしライフサイクル仮説が成立するにしても、高所得者と低所得者の生涯消費性向は100%と同じになるはずなので、消費税負担率も同じになり、累進性が増す事は無い。大竹氏と小原氏の試算では累進性が増しており奇妙な結果になっている。第四に、金利収入が考慮されておらず、現役時代に貯蓄の多い高所得者が老後も金利収入が多いことを忘れている。第五に、海外消費は課税網から抜ける。

3. 無理に消費税の逆進性を否定する必要は無い

両氏の主張を否定するのには、第一点だけで十分であろう。高齢の資産家と高齢貧困者の間の所得間格差の是正に所得税が無力なのは分かるが、相続税や固定資産税、キャピタルゲイン課税などの方が累進性を作りやすいわけで、無理に消費税に累進性を見出す必要は無いように感じる。消費税は所得税ほど景気に左右されない点や、無所得者などにも課税できる特徴があるが、やはり逆進的な傾向は変わらない。増税の可否はともかく、欠点は欠点として認識する必要がある。

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