2011年2月25日金曜日

今後5年間はIT業界に大きな変化が無い?

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IT系ジャーナリストの新野淳一氏が『今後5年のあいだにIT業界に大きなインパクトを与えそうな5つの動向』と言うタイトルで記事を書いていた。しかし、はてなブックマークで人気であったのに、あまり目新しい項目が無い。新野氏があげた項目が、いかに古臭い事かを見ていこう。

1. IT系ジャーナリストの新野氏があげる5つの動向が古臭い点

新野氏があげた項目が分かれているので、それにそって列挙していくが、新野氏の見出しが不適当で混乱を招きそうな点は、元の見出しに取り消し線をつけて訂正してある。

1.1. 業務の定型化の波
伝票をレターボックスに入れるのも一種の定型化だ。システム開発に関わらず、業務効率の改善を試みる場合は、常に業務の定型化が必要になる。国際化で定型化が進むと言うが、定型化する方向が変化するだけで、状況は変わらない。ERPSCMCRMに業務をあわせる話だとしても、過去10年間に言われてきた事と変わらない。
1.2. スピードの価値の高まり
Time is moneyが流行語だとは知らなかった。納期を急がされない仕事は余り記憶に無いのだが、新野氏の今までの取材先は開発期間をたっぷり与えられているシステム開発会社が多かったようだ。
1.3. 規模の経済 クラウドの台頭
ASPを含むクラウド(インターネット上の大規模サービス)の企業利用が進むと指摘している。データセンターやホスティング・サービスを日常的に利用されているので、アウトソーシング自体は意外ではない。現状では遅延や単価、セキュリティの問題もあるのだが、今後5年間で改善されると言う見方であろう。もちろん、インターネット興隆後の流れが維持されると言う事だ。
1.4. Web標準 ウェブ・アプリケーション化
セマンティック・ウェブやHTML5の事かと思いきや、新野氏はクロス・プラットフォームを達成する技術としてHTML/CSS/JavaScriptが普及すると主張している。1995年から業務アプリのウェブ・アプリケーション化が急速に進んでいるはずなのだが、新野氏の取材先では全くウェブ化が進んでいなかったのであろうか。
1.5. 勉強会
IT勉強会のピークは2008年ぐらいだと記憶しているのだが、まだまだ勢いが続いているのであろうか。誤解があるのかも知れないが、現状の勉強会は汎用的な技術の紹介が多く、ベンダー依存が強い製品については触れられていないし、地道に学習していかないと理解できないものは対象にはなっていないように感じる。

目新しい事が本当に無い。新野氏は、今後の5年間は大きな変化が無いと言いたいのであろうか。

2. もっと可能性を広げるソフトウェア技術に注目するべき

もちろん、IT業界にインパクトを与えそうな技術動向は次々に出てきている。変化が全く無いわけではない。

ざっと思いつく事をあげてみる。インフラ面ではIPv6やVPS、Google App EngineやAmazon EC2/S3のような大規模分散ホスティング・サービスとしての『クラウド』が普及するであろうし、ミドルウェアとしてはMapReduce型のフレームワークHadoopによる大規模分散データ処理や、非同期I/Oによるプッシュ型Ajax技術のCometが一般化する一方で、HTML5/JavaScriptの高機能化とFlash/Flexの地位低下が発生しそうだ。プロセッサのマルチコア化が加速しているので、コンカレント・プログラミングが容易なGoのような言語に人気が集まるかも知れない。App Storeのようなアプリケーション・ダウンロード・サービスの整備は、中小ソフトハウスの経営を変える可能性がある。

ITジャーナリストとソフトウェア・エンジニアでは視点が異なるのだとは思うが、数ある新たな技術動向でも、もっとシステム開発の範囲を広げてくれる技術に注目するべきであろう。例えばIPv6はP2Pアプリケーションの開発を促進しそうだし、Hadoopは従来無理だった大規模なデータ分析を可能にしてくれる。Cometでプッシュ型のサービスも復権するかも知れない。コスト削減も大事だが、利用範囲の拡大をもたらさないと、大きなインパクトは産みづらい。商業的にも商品種類の拡大になるのだから、もっと夢を広げる技術が注目されるべきだと思う。

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