2010年12月21日に、遺伝子改造されたネッタイシマカがマレーシアで放される実験が施行され、1月5日に成功裏に完了したとマレーシア政府が発表した(AFP)。ネッタイシマカは、医療処置無しでは死亡の恐れもあるデング熱の媒介者として知られ、マレーシアでは昨年も134人が死亡している(POPSCI)。
放された6,000匹のGM蚊は全てが雄で、その子孫はすぐに死亡するようになっている。つまり、繁殖能力に問題があるダメ夫で、雌と交配しても蚊の勢力を減退させてしまう。このダメ夫が、どの程度やぶ蚊を減少させられるかは分かっていないが、もし生息数を削減できたり、撲滅できれば、熱帯地域の公衆衛生に大きな改善となる。ただし、環境保護団体は野生化したGM蚊が環境に与える影響を危惧・反対しており、今回のマレーシア政府の実験強行を非難している。
日本では戦後、土着マラリアを媒介するハマダラカの繁殖地である溝や水たまりを減らすことで、マラリア原虫を絶滅する事に成功した。マレーシア政府が狙っているのは、ネッタイシマカやヒトスジシマカを絶滅することでデングウイルスを撲滅する事だと思うが、子孫を残さないダメ夫が蚊の社会で優勢になる事は無いので、聞いている限りは効果が薄いように感じる。実験が成功したという事なので、ダメ夫が嫁を見つけられたことは確認したのだと思うが、簡単にはネッタイシマカを減らすことは難しいだろう。
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