2010年11月11日木曜日

遺伝子組み換え技術による繁殖妨害が、害虫を絶滅寸前まで追いやる

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米アリゾナで、遺伝子組み換え技術による出生率制御と、遺伝子組み換え綿花の組み合わせで、綿花の花と実を食い荒らすワタアカミムシガの幼虫(Pectinophora gossypiella)を、ほぼ絶滅まで追いやる事に成功したとEureAlert!が伝えている。

1996年に細菌Bacillus thuringensisの遺伝子を持ったBt綿花が開発され、それを食べた害虫の一部分が死ぬようになった。害虫・益虫関係なく駆除する農薬散布と比較すると、害虫のみを駆除するBt綿花は効率的ではあったが、すぐにBt綿花耐性虫が発生し、効果がなくなってしまった。

しかし、Bt綿花耐性は劣等遺伝なので、Bt綿花耐性虫と通常の害虫の子孫には、Bt綿花は有効だ。そこで、Bt綿花と一緒に通常の綿花も栽培するようになった。通常の綿花が栽培されていれば通常の害虫が多数派になり、Bt綿花耐性虫同士の交配を防ぐことができる。この両栽培手法は法的に義務であり、トウモロコシでも行われている

しかし、両栽培手法は完全には被害を防ぐことができない。そこで、アリゾナ大学農業生命科学部の昆虫学科長のBruce Tabashnik氏らは、不妊化ワタアカミムシガを放す実験を行った。不妊化ワタアカミムシガと通常のワタアカミムシガの子孫は、生殖能力を持たない。もちろん大量の不妊化ワタアカミムシガが必要だが、通常の綿花畑に100万匹を放つ程度で済むそうだ。

2006年に、この新たな駆除プログラムが開始されるとワタアカミムシガは99.9%減少し、2009年には16,600の莢からたった2匹しか発見されない程度になった。農薬の散布も激減し、1990年~1995年の間、ワタアカミムシガの対策費は毎年1,800万ドル(約1,494億円)だったが、2006年~2009年は17万2000ドル(約1,428万円)に激減した。1996年と2006年~2009年を比較すると、農薬散布は88%減少し、200万ドル(約1億6600万円)のコスト節減になったそうだ。不妊化された害虫を放す試みは初めてではないが、Bt綿花との併用で大きな効果をあげたと考えられる。

実験前には、耐性虫の発生を遅らせるために、10年分以上のデータが収拾され、コンピューター・シミュレーションで分析された。なお、この実験は綿花栽培者と米農務省、共同事業部門のPeter Ellsworth氏を含むアリゾナ大学の共同研究になり、その研究成果はNature Biotechnology誌で報告されている。

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