スウェーデンなど北欧の制度も良く誤解されている*1のだが、リーマン・ショック後のアイスランドも良く勘違いされている。例えば京都大学の藤井聡氏も「近年では、ギリシャやロシア、アルゼンチン、アイスランドなどが財政破綻しました」と書いていたし、最近は「2011年に政府債務を踏み倒したアイスランド」のような事を書いている人がいた。しかし、2008年から2011年のアイスランド金融危機でデフォルトしたのは市中銀行であって政府ではない。アイスランド政府はアイスランド市民以外の預金保護を行わなかった*2し、政府は各方面からの支援を受けてはいるが、その政府債務はデフォルトしていない。
2016年5月16日月曜日
2016年5月15日日曜日
富の偏在はなぜ生じるのか?
明治学院大学の稲葉振一郎氏が『不平等との闘い』と言う新書の数学注を出していた。献本が来ない*1ので本当の内容は分からないが、その数学注と出版社の作品紹介を見る限りは、一時期のマクロ経済学で不平等の話が低調になった理由が7章あたりで指摘されているようだ。数学注にあるような教科書的なモデルを少しいじった程度では、なかなか格差が温存される世界は説明できない*2。さて、教科書を超えたところで発展はないのか気になるのだが、Mariacristina De Nardiと言うマクロ経済学者*3が不平等に関して簡単なサーベイ記事を書いていたので読んでみた。一時は下火になっていたようだが、能力や選好の偏在に起因するとするには大きすぎる格差を説明しようと言う取り組みは行われてきているようだ。要約と言うか、目に付いた部分を紹介したい。
2016年5月14日土曜日
理系であっても、ほとんどの人はアインシュタインの業績を知らない
社会学者の千田有紀氏がアイドル・ソングの歌詞にマジレス芸を披露している。曰く、「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞が女性差別的だそうだ。
歌詞は論説ではないのだから普遍的な真実を主張する場所ではなく、こういう娘もいるな、こういう気分の時もあるななど、断片的な共感を誘うもので、こういう風に真面目に捉え出したら生きづらいと思うのはさておき、歌詞の中の「アインシュタインってどんな人だっけ?」と言う部分で、女子の理系進学をあれこれ議論していて噴き出してしまった。理工系に進んでも、物理学徒でもなければアインシュタインを偉人たらしめている相対性理論を学ぶ人は限られている*1事を知らないらしい。
2016年5月9日月曜日
ガルパンの戦車の隊列について
ガールズ&パンツァーは荒唐無稽なコミカルな作品だし、シリアル路線であっても物理法則などがかなりおかしくなっている漫画は多いのだが、気になった事があったので「パンツァータクティク ― WW2ドイツ軍戦車部隊戦術マニュアル」で確認してみた。軍事マニアの人は気づいていると思うが、車両間隔が近すぎる。
2016年5月4日水曜日
若返り効果たんぱく質についた疑問
並体結合で若いマウスの血を老いたマウスに送り込むと、老いたマウスが若返る血液ドーピングは広く知られている現象だが、その理由については良く知られていない。2013年にハーバード大学のAmy Wagers氏らがGDF11と言うたんぱく質に起因すると主張していたのだが、2015年の報告で疑問が出された(Nature News & Comment)。
2016年4月24日日曜日
過激なタックス・ヘイブン対策を勧める「失われた国家の富」
タックスヘイブンの会社の設立などを手がける中米パナマの法律事務所から流出した内部文書、通称、パナマ文章が話題になっていた*1が、租税回避地に関しては昔から問題になって来た。以前、これに関した本「タックスヘイブンの闇」を紹介した*2が、去年、「失われた国家の富」と言う新しい本が出ていたので拝読してみた。対外債務と対外資産の差からタックスヘイブンに隠された資産が大量にあり、その分、政府は税収を失っていると考えられるので、日米欧は金融や貿易などで圧力をかけて守秘法域で無くそうと言う話が書いてあった。EU域内で制裁ができないルクセンブルクには、EUから追い出して制裁しろと書いてある。
2016年4月23日土曜日
2016年4月12日火曜日
炎上や村八分は規範的な行為と言えるか?
2002年の日経サイエンスの記事「フェアプレーの経済学」について呟いている人がいた。この記事の話から「フリーライダーや道徳的な逸脱行為に対して、その行為の利害関係からは関係ないプレイヤーが率先して罰する行為」として『「炎上」や「村八分」を肯定的に解釈する必要がある』としている。何か変な気がして、無償公開されている原文*1の方を読んでみたのだが、おかしい事になっている。利他的な制裁行動が囚人のジレンマを解消すると言う話だが、炎上も同様だと言えるであろうか。炎上に参加している人々が規範的に正しい判断ができるかと言うと、そう善悪が明確に分からない炎上案件は多い。もし善悪が明確に分かるケースであっても、不道徳を防止する機構は他にもある。ネット上の中傷行為としての炎上が、規範の維持に必要なことは少ないであろう。
2016年4月6日水曜日
人はなぜ協調するのか ─ くり返しゲーム理論入門 ─
著名ゲーム理論家の神取道宏・東京大学大学教授の昨年出た薄い本、『人はなぜ協調するのか ─ くり返しゲーム理論入門 ─』がネット界隈で評判だったので拝読してみた。装本からしてそう書店には流通していないと思うが、ワンショットのナッシュ均衡ぐらいを知っていれば読めるので、長期の人間関係を描写する繰り返しゲームにちょっと興味がある人にはお勧めだ。81ページと簡潔な割りに平易なので、本書の「はじめに」に書かれた狙い通り、経済理論を専門としない人に良い冊子になっていると思う。経済学徒でもバリバリとゲーム理論を研究していない人であれば、前半の考え方の部分も含めて勉強になると思う。
2016年4月5日火曜日
保育園落ちた日本死ね!!!騒動で見落とされている事
はてな匿名ダイアリーに「保育園落ちた日本死ね!!!」と言う秀逸なエントリーが出て、国会で取り上げられるまで話題になった。身近な問題なので、あちらこちらで意見が出て来ている。認可保育所が不足しているのだから増やすべきと言う素朴なものが多いようだ。供給不足の原因や、供給を増やす方法を考察しているものもあるが、今より政府負担を多くすべきと言う認識が大勢だ*1。しかし、保育所にどれぐらいの公費が投入されているのか知っている人も、保育所を提供しないといけない理由について整理できている人も少ないようで、危うい主張になっている。









