2015年12月22日火曜日

選択的夫婦別姓制度に反対する人は、説得的な反対理由を挙げる必要があるのか?

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最高裁判所が夫婦同氏制を合憲としてから、にわかに選択的夫婦別姓制度の是非について議論が盛り上がっているようだ。違憲でないからと言って、夫婦同氏制が望ましいと決まったわけではないから、議論が終結したわけではない。むしろ、議論はこれからであろう。非嫡出子の相続分差別規定は、何十年とかけて最高裁の判断が変わった。

さて、選択的夫婦別姓制度が姓を同じにするときの不利益がどちらか片方によることが不公平であると明確に主張できる一方で、夫婦同氏制を維持する理由を明確に主張する人はほとんどいないようだ。「家族の一体感を損なう」と言われても、姓が異なると失われる一体感とは何なのか、実の所は明確ではない*1

2015年12月17日木曜日

自分で考えすぎた人の話――カント哲学入門

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哲学の世界には分野外の人にも知名度はとても高いが、その主張がほとんど知られていない偉人は多い。その代表を選ぶとしたら、やはりカントであろう。功利主義であればその主張の断片を、それが誤解されたものでも耳に挟むこともあるわけだが、カントを濫用する人は少ないと思う。それが帰結主義と対になる義務論の原典みたいなものであってもだ。難しすぎて誤解もできない。そんな途方に暮れた一般人のための、カント概説書が出ていた。『自分で考える勇気――カント哲学入門』だ。

2015年12月10日木曜日

出だしからコケている気がするリベラル懇話会

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リベラル政党のための、リベラル政策を検討する、リベラル懇話会なるものが設立された(財経新聞)。出だしから、物凄く残念な感じが漂っている。マーケティング的にも、民主党の諮問機関としての実態から考えて、表に出てこない方が良い気がするのだが、コンセプトが一つの倫理観に依存してしまっているし、それへの理解にも混乱が見られる。その道の人が、検討した上で書いたとは思えないのだが。

経済学における合理性が誤解されそうな『実践行動経済学』

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ネット界隈で良く言及されている(気がする)『実践行動経済学』を読んでみたのだが、何か経済学に強い誤解を抱きそうな本だった。駄目な本と言うわけではなく事例が豊富で面白いのだが、合理的な経済人(ホモ・エコノミクス)に対する強い誤解を引き起こしそうな文が溢れていた。本書で規定される経済人は、無限の計算能力と神仏と同じ認知能力を持つことになっている。

2015年12月6日日曜日

東浩紀のゲンロンは日本から消滅すべき

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産経毎日新聞で批評家・作家の東浩紀氏と社会学者の開沼博氏の『脱「福島論」往復書簡』が掲載されていた。開沼氏は、福島県外の非当事者からの原発災害に関する意見に「ありがた迷惑」なものが多くあり、無自覚にそれを行わないようにして欲しいと訴えている*1のだが、それに東氏は『発言の権利がある人とない人を、誰かに「迷惑」か否かといった基準で分割する、乱暴な発想』と批判している。東氏は、開沼氏に「外から乗り込んできて福島を脱原発運動の象徴、神聖な場所にしようとする」のが迷惑だと宣言されて、「福島第一原発観光地化計画」が否定されたように感じて傷ついているようだ。計画が被災者のためになるか、迷惑になっても実行する価値があることを主張すれば良いだけ*2なのだが、発言権が取り上げられたように感じているらしい。

2015年11月30日月曜日

日本の反知性主義者

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安倍総理を批判する文筆家が使っているだけな気もするが、「反知性主義」と言う言葉が流行っているそうだ*1。一見して分かったような気になれる単語だが、その原典に近い意味は広く知られていない。翻訳家の山形浩生氏の説明によると、『浮き世離れしたなまっちろいエリートの机上の空論より、現実に根ざした一般庶民の身体感覚に根ざす直観こそが貴いという考え』と言うものだそうだ*2。さて、日本ではどのような人々が反知性主義者になるのであろうか。

2015年11月20日金曜日

障害を持つ胎児を中絶することは倫理的であり得る

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茨城県の県総合教育会議で、日動画廊副社長・長谷川智恵子氏が出生前診断によって、障害のある子どもの出産を防げるものなら防いだ方がいいと発言した*1ことに対して各所から批判が上がり、長谷川氏は謝罪に追い込まれた*2。しかし、氏の真意はよく認識されていないようだ。ナチス・ドイツにおける優生政策と結びつける人が見られるのだが、どちらかと言うと出生前診断の普及促進によって親に選択肢を与えようと言う話になっており、大きく曲解されているように思える。そして不道徳な発言のように非難されているが、良く知られた倫理から擁護することも不可能ではない。

2015年11月19日木曜日

従軍慰安婦像の撤去は日韓外交を合意へ誘うと言えるのか?

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日韓外交をゲームで捉えると不謹慎だと言う人もいるらしいのだが、ゲーム理論のような構造的な視点から見てみるとすっきり説明できる事もある。それが現実を反映しているかは定かでは無いのだが、交渉の要素が本当に鍵になるのか、どういう原理で鍵になるのかが明確になるからだ。先日の日韓首脳会談を受けて、朴政権が韓国の日本大使館前の従軍慰安婦像を撤去することが、従軍慰安婦問題の解決につながると言う主張が見られるのだが、その妥当性について考えてみたい。

2015年11月17日火曜日

これから「殺人」の話をしよう

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あなたは何を元に善悪の判断を下しているのであろうか。信条を直感的に参照している人が多いと思うが、その信条が適切なものか考えたことの無い人は多いであろう。左派やリベラルを自認する人々には、特にそういう人々が多いように思う。

「直感的な価値規範の問題なので論理的議論は難しい」と開き直る人もいるのだが、中心となる倫理から、具体的な行為における規範を説明するぐらいはして欲しい所だ。実際に、倫理学者の間では有名な功利主義者のピーター・シンガーの名著『実践の倫理』を読んでみると、ある程度は論理的に説明されることが分かる。

2015年11月4日水曜日

消費税率を引き上げても、税収は減らなかった

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理屈は示されていないのだが、ネット界隈には消費増税をしたら税収が減ると言い続けている人々がいた*1。増税をしたら税収が減るのであれば、税率ゼロの無税国家が税収最大になるので意味不明と思わなくも無いのだが、実際に2014年4月に増税がされたわけなので、その結果と主張が合致するのかが気になる所だ。果たして、2014年度も2015年度も税収は増加する模様だ。増税による税収減少を主張していた人々は、今、何を思っているのであろうか?