2020年11月2日月曜日

5年ぶり2度目の大阪都構想の挫折

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5年ぶり2度目の大阪都構想*1の住民投票も、反対多数に終わった。大阪維新の会と公明党のそれぞれの支持者の忠誠心、東京に対するある種の嫉妬に当て込んだ住民投票であったが、賛成過半とするには至らなかった。終盤で毎年の行政コストが増加することが広く報道され*2、反対派が増加したのが否決につながったようだ*3

住民が冷静に考えたら、勝算の薄い住民投票である。現状のように、府と市の行政トップが同じ政党から出ていて、府と市の連携が密であれば、都構想が解消を目指していた二重行政の問題は生じないわけであるし、都構想の実現に大阪市民に明確な利益は無かった。むしろ、都市計画を府の管轄にし、府の利益と市の利益が対立するときに、府の意向が優先されるような制度になるわけで*4、将来、不利益になりうる。

無理ゲーをクリアぎりぎりまで持っていったわけで、大阪維新の会の腕力を認めざるを得ない。しかし、松井大阪市長は任期後政界引退を宣言し、吉村洋文知事は都構想に再挑戦はしないと明言した。投票終了後の記者会見では、松井氏も吉村氏も大阪都構想への執着を見せていない。松井氏は大阪維新の会の早期からの中心である一方、吉村氏は若手から中堅のホープであり、嘘でなければ大きな方針転換と言うことになる。今までの行政サービスの整理・統合(と言うか縮小)方針は維持されると思うが。

ところで、開票率94%からの反対票が見事な差し脚を見せ、面白い開票速報になっていた。

*1区の数など、前回とは計画の細部が異なる。

*2大阪市4分割218億円増 維新「財政成り立つ」 自民「なぜ数字出さなかった」 - 毎日新聞

*3NHKの期日前投票の出口調査では、投票日に近くなるにつれて反対派が多くなっていった。

*4大阪市を複数の区ではなく、複数の市に分離する方が、地域ごとの裁量権が増す。

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