2020年10月25日日曜日

菅内閣の日本学術会議委員の任命拒否問題は、独裁だと非難するより訴訟した方が早いですよ

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

菅内閣に日本学術会議委員の任命を拒否された刑法学者の松宮孝明氏が、「ヒトラーのような独裁者になろうとしている」と菅総理を非難している*1。政党が独自の暴力組織を持っていた時代に、違法に権力を掌握した蓋然性が高いナチスを持ち出すと話がややこしくなる気がするのだが、それはさておき首相をどのように非難しても真面目に受け止めてもらえないので無駄である。

当事者適格がある松宮氏らが訴訟を起こすほうが手っ取り早い。(憲法云々ではなく)日本学術会議法の規定が形式的承認なのか、実質的な承認なのか、法律の解釈が争点になっている*2わけだが、日本で法律の解釈ができるのは裁判官だけだ。

負けると菅内閣にお墨付きを与えてしまうし、法曹でも意見は分かれるようだが、勝算は高そうだ。過去に政府の裁量を認めた訴訟を見ても、定員を超える推薦者がいるときに選択を行った事件だし*3、中曽根内閣のときの国会答弁もある。原告が勝訴した場合、政権へのダメージも大きいし、さらに適法か否かを判断した内閣法制局の審査能力の問題をあらわにすることができるので、左派が非難してきた安倍的なモノの代表、解釈改憲への疑義を煽ることもできる。

どうも委員の皆さん、年度末は予算不足で手弁当で活動していたりするらしいので、請求する損害額があるのかは謎だが(´・ω・`)

*1学術会議 任命拒否の6人が初めて共に訴えた菅首相への「胸の内」 - 毎日新聞

*2関連記事:菅内閣の日本学術会議委員の任命拒否は、形式的承認の実質化が問題

*3似たような条文で政府の裁量権を認めた昭和57年の大阪地労委委員任命処分取消事件が参照されているのだが、定員11名に対して推薦13名だったときに、大阪府知事が2名を指名しなかった事が裁量権の逸脱になるか争った事件で、今回とは情況が異なる。平成10年の労働委員会労働者委員任命処分取消等請求事件の高裁判決も、複数の労組から定員を超える推薦がある中で、連合推薦者のみを任命した事件のようだ。

0 コメント:

コメントを投稿