国民民主党の玉木雄一郎共同代表が、平均寿命の伸びに対応し定年制を廃止させて、高齢者は最低賃金以下でも働けるようにすべきと言い出した。募集時に時給を提示しない事は無く、賃金は常に同意している事になっているのだから、本人の同意で最低賃金以下で働けると言うのは、即ち、最低賃金が無くなることを意味する。定年制を廃止は一つの方針としてあり得るが、最低賃金が障害と言うのはポイントを外している。
年齢とともに労働生産性は落ちるであろうから、定年制が廃止されれば高齢者の高い年功賃金とその労働生産性が釣りあわなくなって、企業が困る事になるのは理解できる。玉木氏も属していた民主党政権は、改正高年齢者雇用安定法*1によって、定年後、65歳までの再雇用を義務とする代わりに、賃金を下げる事を認めた。定年がなくなると再雇用ではなくなるので、賃金を年齢に見合ったものに下げるタイミングが無くなる。最低賃金が無くなっても、労働条件の引き下げが出来ない場合は問題が解決しない。必要なのは、労働条件の変更ルールの修正である*2。
年齢に応じた労働条件の引き下げが可能になれば、最低賃金の撤廃も効果を持つことになるであろうが、日本の最低賃金は決して高い方ではない。最低賃金にも見合わない労働生産性の高齢者は、身体の自由が効かないぐらい弱っていると考えるべきであろう。すると、最低賃金を引き下げてまでわざわざ働き続けてもらうべきとも言えないはずだ。最低賃金は分かりやすいルールなので是非がよく議論されるのだが、最低賃金で働いている人は少数で、労働問題全般から見るとそう重要とは言えない一方、その効果については未だ定見が無い*3。安易に議論するのは避けた方が良いであろう。
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