天候が社会経済に与える影響は大きく、報道番組でも気象の解説は多いそうだが、体系的に覚えているかと言うと心もとない。中高のときに地学で習ったはずなのだが、さっぱり内容を覚えていない・・・そんな残念なオトナは少なく無いと思うのだが、子どもに無学を暴かれる前に急いでインプットをしておこう。ちょっと古い本なのだが、「図解・気象学入門」はこの目的に有効である。
現象を解明するということは、究極的には物理法則につなげる事だから当然なのだが、気象学と言いつつ、第4章までは物理学の重要性を認識できる。先日話題になっていた湿った空気が軽い理由も、物理学は説明してくれる。アボガドロの法則、偉大。第4章の終わりの方から天気図が出て来て、風の発生メカニズムや梅雨や台風の仕組みが解説され、気象学と言う感じがしてくる。偏西風波動による異常気象など知らなかった。第7章は、気象データの取得から、数値演算をして天気予報を出すまでの流れが紹介されていた。
積乱雲とダウンバーストの話などは、イースタン航空66便着陸失敗事故などで何となくは知っているのだが、積乱雲の発生から消滅までの過程で捉えなおすと新鮮であるし、ジェット気流や地表の摩擦が無いと、低気圧や高気圧はコリオリの力で周囲の空気の流れが循環してしまい、すぐに自然消滅してしまうと言うのも興味深い。情報量が多いので一読して内容を覚えるのは難しいが、日々の生活に関わる天候だけに全く関心を持てない話は無かった。
本書の狙いではないのだが、物理学の重要性から、やはり簡単なものでも数学教育の重要性を感じてしまう。新学習指導要領で文系からは消えると言うベクトルを知らないと、コリオリの力の説明も苦しい。地表ではコリオリの力と摩擦力の合力が気圧傾度力と釣りあう事を、ベクトルを知らない人に説明しようとすると、おかしい事になりそうなのだが大丈夫であろうか。気象情報の理解が甘いと、帰宅難民になって困ると思うのだが。それとも文系は天気予報を見ていれば十分と言う判断なのか。
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