2019年8月25日日曜日

フェミニストの江原由美子さん、指標の大小の意味はよく確認しましょう

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

横浜国立大学の江原由美子氏が、「フェミニストの私は「男の生きづらさ」問題をどう考えるか」と言うエッセイの3ページ目で、「日本では男性よりも女性のほうが、幸福度が高い」ことを、男女共同参画局の調査レポートにある生活満足度の集計値*1では男性の方が指標が高いことから、信憑性が低いと主張している。確かに、男性の方が指標が高い。しかし、これ、(すもも氏のツイートの請け売りなのだが)指標が低い方が生活満足度が高くなっているので、調査結果の読み間違いである。

全体の論理も妙なことになっている。主観的幸福度など信用が置けない…と言うのは、厚生経済学者などからも出される見解であり*2、上述のミスだけでは江原説が決定的に間違いとは言えないのだが、幸福度や満足度の調査があてにならないことは、客観的な「生活の質の高さ」でみて男性の方が恵まれていることを意味しない。客観指標としての男女別の「生活の質の高さ」を具体的に示してもらわないと、「男の生きづらさ」がその「無意識の特権意識」に起因するものとは言えない。生活満足度の方はうっかりミスなのだと思うが、こちらは批判に備える訓練ができていないと言うか何というか*3

追記(2019/08/26 14:40):指標を逆に読んだことに関して修正がされていたのだが、男性の方が満足度が高い項目は2つだし、そのうちの一つ「家庭生活」は2.25と2.24でほとんど差が無いのに、「「配偶者との関係」や「家庭生活」などにおいては、男性の満足度の方が女性よりも高くなっている」「男女別生活満足度は、過半数の項目で男性の方が、満足度が低い」と、なるべく男性の満足度が低く見えるように表現しつつ、「客観的には女性よりもずっと良い条件にあるはずの仕事においても満足感が低く」と予断に基づく議論を展開している。

*1江原氏のエッセイでは「男女共同参画局の調査(平成22年度)」とあるのだが、実際は『男女共同参画白書 平成26年版』の1-特-28図を参照していると思われる。

*2関連記事:幸せのための経済学――効率と衡平の考え方

*3関連記事:ジェンダー論をやっている社会学者は“被害者”

0 コメント:

コメントを投稿