2018年11月21日水曜日

マンスプレイニングを語る前にフェミニストに知って欲しいこと

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勘違いおっさんは、自分が学んだこともないことを、男性の専門家にも偉そうに説教をする。

武蔵大学の北村紗衣氏がフェミニストらしくジェンダー論の通説に沿ってマンスプレイニングについて解説している*1のだが、ジェンダー論の通説らしく体系的に統計をとった結果の話では無く*2論者の個人的体験談を超える根拠があるわけではなく、論が粗いのが気になった。

おっさんが、女の子に説教をするのが好きなのは否定しない。キャバクラに行ってキャバ嬢にこんな所で働いていてはいけないと説教しだしたおっさんの事例は一つや二つではないようだ。しかし、おっさんが女性にだけ不要な説教をしている、もしくは女性に不要な説教をしやすいと言うのは根拠が薄いように思える。

ある研究*3では、男性は男性の発言を平均2回、女性の発言を平均2.6回妨げ、女性は男性の発言を平均1回、女性の発言を平均2.8回妨げることが報告されているが、男性は女性よりも相手の性差によって態度を変えない傾向があることが分かる。男性も態度を変えると言えるが、被験者間の知識量の差を制御すれば消える程度かも知れない。会話における役割分担は性別ではなく社会的地位の差で決まってくると言う研究*4もある。

SNSで、法律ど素人の顧客のおっさんが話を聞かずに自分の法律解釈が正しいと言い張っていたと言う男性弁護士の愚痴を見たことがあるのだが、話している相手の専門知識を尊重しない人々は少なくない*5。自己愛性パーソナル障害者は、教えてもらうと言う行為それ自体に自尊心が傷つけられるので、相談にならない相談をしたりする。

生活に支障をきたさない程度で「障害」とは言えなくても、他者の専門知識を尊重しないおっさんは数多い。経済学を学んだ事が無いのに、世界の経済学の潮流を語るおっさんはSNSに少なくない。経済を語るのならまだ分かるのだが、経済学を語るためには経済学を学ぶ必要があるはずだ。体系化され念入りに検証されている数学や物理学で専門家と言い争っているおっさんもいる。

『相手の女性が既に知っていたり、説明してもらう必要がないと思っていたりするのに、男性が偉そうに説明をするのが「マンスプレイニング」だ』と言う定義は分かるのだが、男性でも頻繁にそのようなおっさんの被害にあうので「男性優越主義的な態度」であるかは分からない。相手構わず偉そうにしたがる人なのかも知れない。また、偉そうな言い方をしていても、反論は考慮してくれる人もいる。

*1男たちはなぜ「上から目線の説教癖」を指摘されるとうろたえるのか(北村 紗衣) | 現代新書 | 講談社(1/4)

*2"Seven Studies That Prove Mansplaining Exists | Bitch Media"を参照してみたのだが、話したがりな男性が多いことを示す研究が参照されているものはあるのだが、マンスプレイニングに該当するような状況なのかは定かではなかった。例えば男性よりも女性医師の方が、患者に言葉を遮られやすいという研究が参照されているが、患者の話を聞くことで男性医師よりも予後が良いと言う研究もあり、適切に質問をさせている/しているとも解釈できる。

*3Gender Language Differences: Women Get Interrupted More | The New Republic

*4林(1994)「会話のマネージメントにみられる性差 : その1」甲南女子大学研究紀要,31号, pp.151—178

*5ソフトウェアの受託開発業を行なっている人々は、専門知識を尊重してくれない顧客をどうマネジメントするかと言う問題に突き当たることも多いであろう。誇大広告で煽っている人がいるので犠牲者でもあるのだが、人工知能やディープラーニングについて妄想を語りだして止まらないおっさん、どうにかならないのであろうか。

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