2018年11月18日日曜日

外国人技能実習制度の機能しない不正対策

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安倍内閣が外国人労働者の受け入れ拡大の方向性を示したせいか、ここ数日、ネット界隈では長い間、実質的にそれとして機能してきた外国人技能実習制度の問題に注目が集まっている。

外国人技能実習制度は、日本にある技能、技術又は知識を開発途上地域等への移転を図るための国際協力が目的・趣旨だったはずなのだが、農業など単純労働者が不足している業界で開発途上国などの外国人労働者を雇う方便に使われている制度だ。2002年頃から不正が増加して来たと言われている*1

不正の内容は多様なのだが、最低賃金を大きく下回る給与、社会保険の未加入、不十分な安全・健康管理、募集時の研修・技能実習計画と乖離した職務などの他、パスポートを取り上げるなど拘束が横行していることが報じられている。明らかに違法行為が横行しており、現代のタコ部屋労働と言ってよいであろう。雇用主の義務は「外国人技能実習生労務管理ハンドブック」にまとめられており、最近のケースでは、雇用主の制度理解が甘いために起きているわけではない。中小零細企業の経営者や農家は少なからずがめつい資本家なので、労働者側に対抗手段がないと限界まで酷使しようとしがちだ。

対抗手段は、離職・転職*2、違法行為の告訴、そして団体交渉となるが、外国人技能実習制度は離職・転職は原則できず、団体交渉も何十人と同じ出身国の人がまとまっている事も少ないのか起こされていないようだ。証拠を揃えて労基署に駆け込むことができれば、労働基準法によって雇用主に懲役または罰金を与える事ができ、さらには研修生受入れ停止に追い込むこともできるが、日本の法制度が分からないと証拠を揃えて労基署に駆け込む事もできない。日本人でも家族や友人にまったく相談しないで、対抗手段を取れる人は限られるであろう。制度は整っているとも言えるのだが、技能実習生が利用しづらいものとなっている。

不正は見つかっているので、不正対策が全く機能していないと言うわけではないが、後を絶たないのは発覚するリスクが小さいので不正を慣行した方が得なのであろう。問題が理解されていないわけではないが、不十分だ。中国語・ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語・英語の電話によるホットラインなども提供されているが、毎日ではないし時間も13時~18時までとなっている。労基署の人間を増員して、外国人技能実習生を受け入れているところを抜き打ち調査するようなシステムでも構築しないと、なかなか不正は無くならないであろう。もっとも、中小零細企業の経営者や農家の利益を代弁する政党である自民党には、それをするインセンティブは小さい。労働者の利益を代弁する政党があれば、過剰に安い労働力の流入が以前からいる労働者の不利益になりうる*3ので、外国人労働者の利益にも熱心であったと思うが。

*1外国人実習生、低賃金で酷使 雇用側の不正増加--人民網日文版--2006.08.17

*2離職して途中帰国することができるがブローカーに手数料を借金して渡していたりするらしく、日本人よりは圧倒的に用いづらい。

*3関連記事:“オレの考えた最強の移民政策選手権”だった「移民の経済学」

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