2018年10月9日火曜日

ノーベル賞受賞経済学者曰く、政治は景気循環をもたらす

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2018年のノーベル経済学賞もしくはスウェーデン銀行協会賞は、マクロ経済学者のローマーとノードハウスに与えられた。内生的成長理論のローマーの方が経済学徒には有名かなとは思うものの、気候変動や炭素税と言うトピックからノードハウスの方が分野外では有名かも知れない。

ところで、ノードハウスの業績の中で一つ大事なものを、ノーベル財団がスルー気味*1なのが気になった。諸事情あるのだろうが,Political Business Cyclesは政策論としてはとても大事な発想である。中央銀行の独立性を正当化する理由にもなるからだ。

ノードハウスはその名も"The Political Business Cycle"と言う論文を書いている。メリーランド大学のDrazen教授のアンチョコを参照するが、そこでは、フィリップス・カーブ、つまりインフレと失業率のトレードオフが、適応的期待形成によるインフレ予測を上回るインフレのとき、自然失業率よりも低い失業率になると言う形で成立している。インフレ率は選挙によって人々に選ばれる為政者によって決定されるが、人々は高インフレと高失業率を嫌う一方、昔の話はよく覚えていない。直近の経済状態が良い方が為政者は再選されやすく、また短期的には中インフレと低失業率を維持できるので、為政者は選挙前にインフレ率を引き上げて、選挙後はインフレ率を引き下げて、景気循環を作り出すのが最適戦略になる。こうやって、政治が景気循環を作り出す事になる(Opportunistic model)。

フィリップス・カーブなんて成立するの? — と思った人もいると思うが、似たような構造であれば、インフレと失業率のトレードオフである必要は無く、ここでの議論は踏襲できる。経済学らしくもなく不合理な有権者だなと思ったかも知れないが、為政者の能力に関して情報の非対称性があれば、昔の記憶がはっきりした有権者においても景気循環を作り出すのが最適戦略になることが後に続く研究で示されている。なお、政党間の政策の指向の違いから、政権交代で景気循環を示すモデルもあるそうだ(Partisan model)。予想インフレ率を適応的期待形成するところが外せるのか定かではないが、それはいつか確認したら追記したい('-' )\(--;)BAKI

なお、計量分析も行なわれていて、米国や開発途上国では選挙前の景気改善が現職議員の再選に大きく影響する一方で、他の先進国ではそのような効果は確認できないそうだ。ノーベル財団が低く評価するのは仕方が無いか(´・ω・`)ショボーン

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