2018年10月20日土曜日

最高裁「裁判官は担当外の裁判であっても安易にケチをつけるな」

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Twitterでの発言に関して分限裁判にかけられていた白ブリーフこと岡口基一裁判官への処分が確定した。SNSでよく発信している弁護士は概ね岡口氏の支持者であり最高裁の判決を非難しているようだが、全員一致の最高裁判決なので無碍にはできない。法曹界の究極のお偉いさんの思考形態を検証する価値はあるはずだ。岡口氏自身が分限裁判の決定理由の書面をアップロードしているので、素人ながら中身を確認してみたい。

1. 問題とされた岡口裁判官の行為

事実上、裁判官であると周囲から認識される状態で、反省の弁を述べながら何回も軽率なツイートを繰り返した事から処分に至ったそうだ。具体的には、(1)裁判官であることを示す辞令書とともに裸体/白ブリーフと緊縛写真の掲載を行なったこと、(2)特定の性犯罪事件の内容に言及して被害者遺族の感情を傷つけるなどしたこと、そして直接の懲戒原因となる(3)置き去りにされた犬を保護して育てていた被告への犬の返還請求に関する民事訴訟において、原告が裁判を起こした事を揶揄するツイートを行ない原告感情を傷つけたことが挙げられている。

2. 最高裁「担当外の裁判であっても安易にケチをつけるな」

ネット界隈では、被害者遺族と原告の感情だけで裁判官を処分した“お気持ち”重視で、表現の自由を大きく損なうと非難しているのだが、裁判官がSNSで裁判に関して言及を行なうための外形的な基準を設定しているように思える。「担当外の民事訴訟事件に関し,その内容を十分に検討した形跡を示さず,表面的な情報のみを掲げて」一方的な評価を公然としたことが非難されており、恐らく裁判記録を自ら調べるなどをして原告と比較の言い分を詳細に検討し、その検討方法も分かる方法で意見を述べることを求めているからだ。

3. 国民から見て裁判所全体と裁判官個人は不可分

弁護士を含む大多数の人々は、報道される断片的な情報で自分に直接関係のない裁判の是非について感想を述べる。裁判官も自分の担当外の裁判に関しては、同様に感想を述べても良さそうな気もするが、「裁判官が,その職務を行なうについて,表面的かつ一方的な情報や理解のみに基づき余談をもって判断するのではないかという疑念を国民に与える」からダメだそうだ。国民から見て裁判所全体と裁判官個人は不可分な面が大きいと認定している。ゆえに、こと裁判について言及するにおいて、裁判官の言論の自由は制限されるそうだ。

4. 感想

ネット界隈で非難されるよりは、ずっと理屈がついているように思える。現在の社会規範をどう取るかにおいて、最高裁判決への支持は変わるであろう*1。確かに、原告の訴訟提起行為を非難するだけではなく、不当判決と主張しているようにも思えたので、裁判官の当たり外れで裁判結果が変わるという印象を国民に与えて、裁判所の信頼を損なったかも知れない。担当外の裁判への言及だから、テキトーな発言だと割り切って読んだというオトナな人々も、裁判官が気分で判決を下していると以前から思っていたというコドモな人々も多いと思うが。

*1「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら・・」は被告の気持ちを代弁しており、岡口氏の揶揄ではないと言う弁護を見かけるのだが、最高裁はそう認められない理由をしっかり述べている。

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