2018年6月26日火曜日

韓国が北の同胞を切り捨てる準備をはじめる

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2018年6月12日の米朝首脳会談後、様々な論評が書かれている。その多くで勝ち負けを言及しているのだが、具体的な合意事項は無く、勝ち負けを言えるほどの変化は無かった。

北朝鮮は核・弾道ミサイルを放棄していないし、日米中韓(そして国連)は経済制裁を解除していない。北朝鮮は核・ミサイル開発を、米韓は軍事演習をそれぞれ暫時停止する双暫停モデルが採用されたから中国が一人勝ちした説は、それが一時的な緊張緩和に過ぎないことを忘れている。

1. 米朝首脳会談後の動き

中身の無い合意よりは、その後の米国、北朝鮮、そして韓国の動きを見るべきであろう。二週間ほど眺めていたら、予想外に積極的な動きになってきた。

トランプ大統領は、完全な非核化(と弾道ミサイル開発放棄)の代償に、北朝鮮の体制保証を繰り返し明言し、北朝鮮の非人道的行為は容認するか、非核化問題と切り離す事を示唆した。中短距離弾道ミサイルについては不明瞭なところがあるが、トランプ大統領の5月までの発言では容認する姿勢を見せていない。しかし、在韓米軍の撤退に関しては、議論する余地はありそうだ*1

北朝鮮は、米兵の遺骨返還事業、南北離散家族再会事業を進める一方で、反米切手の流通を停止し、朝鮮戦争開戦記念日でも反米表現を抑制するなど緩和ムードの演出を行なっている。また、中露に接近を行なっている。核兵器を放棄すれば、米韓に軍事的に対抗するためには、中露に依存する必要があるので、これはトランプ大統領のシナリオに沿った動きと言える。

韓国政府は、2020年から小・中・高で使われる教科書から「韓国が韓半島(朝鮮半島)唯一の合法政府」という記述を消す事を決めた。北朝鮮と共存していく方針を固めようとしている*2。「大韓民国の領土は、韓半島及びその附属島嶼とする」と言う大韓民国憲法第3条は残ったままで、国民の反発によってはゆり戻される可能性はあるが。

2. 韓国の建前が現実化する見込みは無い

現実を認める行為ではある。1953年に朝鮮戦争が休戦してから65年、1991年に北朝鮮と韓国が同時に国連に加盟してから27年が経過しており、朝鮮半島で唯一の合法政府と言う主張は現実を何ら表していない。核問題終結後、米朝で平和条約を結べば外交的にこの状況はさらに強く固定化され、周辺国がオファーしている通りに開発援助を行なえば、北朝鮮が経済的に体制崩壊する可能性は遠のく。北朝鮮は(中国のように)体制維持される可能性が高い。もはや、朝鮮半島の統一は現実的では無くなりつつある。

3. 韓国世論は北の同胞を切り捨てつつある

世論調査によると、南北の統一よりも南北の分断の維持を支持する人々が増加しつつある*3。北朝鮮は間違いなく人権抑圧国家なのだが、韓国人はそこにいる人々の状況の改善のために大きな負担をする気は無いようだ。歴史的には近いと考えられる存在であっても、行政区分の分断が長く人々の交流が少ないと、別のエスニシティに分化していく事が知られる。チェコスロバキアは分裂した。韓国民が北朝鮮人を遠く感じるようになっても不思議は無い。韓国政府もそういう世相の変化を受け入れつつあるのだと思うが、建前の上でも北の同胞を切り捨てる決断になる。

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