2017年3月29日水曜日

西欧のテロ犠牲者数は減っている

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最近の欧州や米国での自爆テロの報道が目に付くためか、過激派イスラム教徒のおかげで社会が不穏になっているような思う人もいるようだが、少なくとも西ヨーロッパ全体ではそう言うことはないようだ。Chart: Terrorist attack victims in Western Europe | Statista(以下、リンク先にあるグラフ;クリックで拡大)によると、テロによる犠牲者数は減っている。

2017年3月27日月曜日

地下水に関する環境問題が分かる本

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豊洲市場の地下水の汚染が話題なのだが、同種の話を良く知らなかったので手軽なアンチョコとして「地下水の科学」を拝読した。その重要性、構造や性質、利用史、枯渇や汚染やその他環境破壊について網羅的に紹介された本。日本地下水学会が環境問題を取材してきた共同通信社の科学部記者に書かせたもので、環境問題の側面から地下水を捉えたい人に丁度よいバランスになっている。科学とあるが、学問的な話は事細かには書いていない。築地市場移転問題にはほとんど関係が無いが、読んでおいて悪くない一冊。(目次や構成と合致しないが)以下のような話が取り上げられている。ただし、日本はともかく世界はどん詰まり感がかなりあるので、鬱のときは読まない方が良いかも知れない。

2017年3月25日土曜日

森友学園国有地売却不正疑惑を決着に導くための単純な方法

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国有地売却及び小学校の設置認可に政治関与が無かったかが国会で追及されている森友学園問題だが、政治家や財務官僚などに政治関与が無かったか聞いて回ると言う茶番になっている。自ら関与があったと言うはずがなく、もう少し客観的な証拠を固める方が建設的だ。国有地売却価格が適切であったかについてまだ決着がついていないので、そこの関連部分を攻める方が適切であろう。見積もりが不適切である事を証明できれば、官僚の怠惰と政権与党の不監督もしくは政治関与のどちらかがあった事になる。

2017年3月24日金曜日

キミはFTPLが苦手なエコノミストなんだね!

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エコノミストの安達誠司氏が『「シムズ理論」が日本経済のデフレ脱却に有効である理由』と言うエッセイを書いているのだが、あまりFTPLを理解していないようなので突っ込んでおきたい。数理モデルを確認せずにその解説文をつなぎ合わせてFTPLを理解しようとして、失敗した気がする。

2017年3月23日木曜日

日銀券が日銀の負債である理由

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昔の紙幣は兌換銀行券と言って、金や銀などの貴金属との交換が保証されたものであったから、中央銀行にとって発行した紙幣が負債であるのは明白であった。一方、現在、日本銀行が出している紙幣は不兌換で、法的に何かの返済義務を負っているわけではないから、その負債性が見えにくくなっている。償還日がない発行済紙幣は、日銀のバランスシートの負債ではなく純資産(資本)に計上すべきと言う声もそこそこ聞かれるぐらいだ。しかし、日銀が状況に応じて日銀券の回収を行なう義務を負っているからこそ、日銀券の価値と機能が維持されている。だから、日銀券はやはり負債と考えるのが適当だ。

2017年3月21日火曜日

豊洲市場の地下水の汚染濃度上昇で、安全なのに政治的に難しくなった築地からの移転

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専門家会議主導による第9回目で異常検知された調査井の再検査によって、豊洲市場の地下水の汚染濃度上昇が確認された。調査井から水を抜き取るパージ後、採水までおく時間を色々ととって確認したところ、採水までの時間が分析結果に与える影響はほとんどない事も確認された。さらに、第8回目までの実施手順について、問題となる部分は無かったと結論された。

2017年3月17日金曜日

安達誠司氏のFTPLが量的緩和無効の根拠にならない論について

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エコノミストの安達誠司氏が「現代ビジネス」で、(1)FTPLは1990年代後半にゼロ金利制約下のインフレ説明用に誕生した、(2)拡張的なモデルまで考えればFTPLは量的緩和無効の根拠にならない、(3)理論的には政府支出の拡大と金融引き締めが無いと破綻しないと色々と勘違いしたかうがった話をしており、(4)FTPLを「机上の空論」としている人々の根拠についても把握できていないようなので指摘しておきたい。

2017年3月13日月曜日

崔順実ゲート事件の隠蔽と捜査非協力が弾劾理由

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3月10日に朴槿恵大統領が弾劾となり罷免された。正直、意外な面もあるのだが*1、裁判官8人全員の賛成であるので、韓国の基準では朴槿恵大統領が重大な違反を犯したのは自明なのであろう。憲法裁判所がどのような事実認定を行い、それがどの法令に違反したと認定したのかが気になるので判決文を探してみたら、意外な方向から弾劾理由をつけていた。

2017年3月11日土曜日

貯蓄で国債はファイナンスされていないと言うMMT信者の議論の問題点

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非主流派経済学と言えばマルクス経済学を想像する人が多いと思うが、最近はMMT:Modern Monetary Theoryと言うものが出てきた。数理モデルや計量分析に頼らず、文化人類学の知見を断片的に取り入れて教条的な議論を展開しているようなのだが*1、その信奉者が民間貯蓄で国債はファイナンスされていないので、民間貯蓄が少なくなっても財政破綻しないと言い出している。高齢化で貯蓄が減少して国債消化が不可能になると言うマクロ経済学者の警鐘に納得がいかないらしい。名目上は破綻しないのはそうであろうが、高インフレを招く理屈はあるので、その論理を整理してみよう。

2017年3月7日火曜日

豊洲市場の地下水のベンゼン濃度急上昇をどう捉えるべきか?

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9回目の地下水のモニタリング調査で、ベンゼン濃度が環境基準の79倍まで急上昇した理由について、あれこれ憶測が飛んでいる。9回目の調査業者が不適切な調査を行なったので異常値が出た、8回目までの調査業者(複数)が不適切で汚染を見過ごしていたなどと色々と言われている。

さて、賑やかで楽しい事になっているが、9回目が適切だったと主張するのは無理筋なようだ。他の数字とつき合わせると9回目の結果が極めて異常であり、証言から9回目は東京都も業者も調査精度を最優先にして仕事をしようとはしていなかった事がわかる。再調査でびっくりする可能性が無いわけではないが、今の数字自体は無価値に近い。

東京都がしっかり地下水の調査を監督していなかったと言う批判はあると思うが、豊洲移転の是非を決めるような材料ではない。そもそも食材の安全性や市場関係者の健康に影響が無い地下水の汚染をそう気にする必要はないので、事態の混乱だけが気になるわけだが。

2017年3月5日日曜日

言葉が通じても話は通じない・英米編

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京都の婉曲的な言い回しを理解できない他地域の人は多いとされるが、こういう事は日本語に限った話ではない。英米でも言葉が通じても話は通じないとされていて、致命的な問題を引き起こすときがある。朝鮮戦争のときに、連合国側で英国将校が英国流の控えめな表現で戦況不利を米軍の上官に伝えた所、増援もされず撤退許可も降りず、健闘したもののほとんど捕縛された逸話がよく知られている*1が、他にも色々とあるのであろう。定期的に英米の言い回しの相違のリストを見かける。昨日も一つ流れてきた*2

2017年3月3日金曜日

不変量とはなにか―現代数学のこころ

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結局は証明しないと始まらない数学は、一般書の題材に向かない分野であると思う。最後はやはり「教科書を読め」になってしまうのだが、それでも何だか面白い紹介本はある。2002年に出た「不変量とはなにか―現代数学のこころ」もそういう類の本で、2013年にちくま学芸文庫で「不変量と対称性」と書名を少し変えて改訂新版が出ている。偶然、古い版を手にとったのだが、内容はそうは変わらないと思うので紹介したい。有名な定理の名前を掲げているわけではないのだが、数歩先の数学の切り口が見えるワクワク感がある中身だと思う。