2017年11月14日火曜日

ふらふらとした韓国の外交政策は必然

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韓国の文在寅大統領が中国と交わした、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の追加配備を行なわないこと、米国のミサイル防衛構想(MD)に参加しないこと、日米韓で軍事同盟を構成しないことの三つの合意に関して、さすがに米国メディアも異常に感じたのか、文氏に批判的に報道*1を行なっている。米韓首脳会談での共同声明*2と合致しない内容になっているからだ。しかしこれ、文氏が悪いと言うよりも韓国の世情を反映したと考えた方が良い。文氏の支持率は高い水準を維持している*3からだ。

日米は中国の対外拡張政策を他のアジア諸国と連携して封じ込め、従来の国際ルールを維持することを画策しているが、韓国はこの方向にそんなに乗り気ではない。理由は二つある。

まず、韓国の対中経済依存度が高く、中国に報復されると大きな被害を受ける。輸出の25%は中国向けで、GDP比にしても11%を占める。日本も決して小さくないが、それぞれ19%と3%に留まる*4。対中直接投資は47億5000万ドルと、日本の31億1000万ドルを金額で上回っている*5。実際に中国が意地悪をするかは、THAADの導入後に示された。フィリピンも南シナ海の問題で、バナナ輸出を停止させられている。

次に、韓国人のエスニシティが問題になる。

  1. 卑屈になってでも強い者に従えと言う事大主義なので、中国が国際ルールを無視している事に対して鈍感である。東亜日報のコラムに「同盟は勝つ同盟でなければならず、勝つ同盟を結ぶためには、時に卑屈さも甘受しなければならない」と言うのが堂々と載るぐらいである。
  2. 俗に言う反日感情/歴史認識問題も強いものがあり、日米韓の防衛協力の強化は世論の強い反発を受ける。トランプ大統領を招いた晩餐間で従軍慰安婦問題と竹島(独島)領有権問題を持ち出していたが、外交的成果を求めたものではなく、後先を考えずにやりたいからやっているところがある*6
  3. 事なかれ主義で、危機意識が低いところがある*7。中国の対外拡張政策に、差し迫った脅威を感じていない。
  4. 軍事政権時代の後ろ盾としての米国に、文大統領や盧武鉉元大統領などの支持母体である韓国の左派は不信感を持っている。敵の敵は味方に感じるのか、北朝鮮を支援していた中国共産党が危ないとは思わないようだ。

中国の封じ込めに参加すると韓国は何かしら犠牲を払う事になるが、韓国人は強国と対決して犠牲を払う国民性は持っていない。それどころか、主戦場が朝鮮半島になるので不自然ではないのだが、北朝鮮との対決にも億劫である。もう日米と距離を取れば良い気もするが、卑屈にとは言っても中国に対する対抗手段は残しておきたいので、その選択肢も明確には取れない。

外交を担う大統領がレームダック化しやすいので、国民感情を抑えつつ外交政策を推進することも難しい。日本の総理大臣であれば、反発を受ける法案を通しても時間を置いて内閣支持率の回復を待つか、政治的混乱の責任をとって辞任して同じ党で同じ政策を維持する後任に任せる事もできるが、そうもいかない政治風土となっている。ゆえに、文在寅氏を説得するか大統領が変わったとしても、韓国外交のふらふら感が変化する可能性は低い。

*1South Korea’s Bow to Beijing - WSJ

*2President Donald J. Trump's Visit to the Republic of Korea | whitehouse.gov

*3文大統領の支持率が80.9%に | 政治/ニュース/ニュース/KBS World Radio

*4「中国依存度が高い国」ランキング 5位に日本 - Forbes JAPAN

*52016年の対中直接投資動向(2017年6月) | 調査レポート - 国・地域別に見る - ジェトロ

*6関連記事:従軍慰安婦問題で韓国人が騒いだ結果

*7朝鮮戦争に限らず、北朝鮮から軍事攻撃やテロ攻撃を受けて来ているのだが、世論調査を見る限り北朝鮮の核兵器を軍事力を使ってでも排除すべきと言う人は少ない。核抑止力への支持率が高いが、これも以前からの傾向である。李承晩ラインを考えると、反撃してこない相手であれば良いようだが。

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