2016年5月31日火曜日

リーマンショック前と似ていると言い張るのであれば

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サブプライム・ローン問題に該当する事象を挙げて欲しい。

G7伊勢志摩サミットで安倍総理が配った、現状がリーマンショック前に似ているとする怪文書が話題になっている。その場では誰も同意せず、ドイツのメルケル首相と英国のキャメロン首相が見解を否定し*1、IMFのラガルド専務理事も「世界経済は08年のような危機にはない」との認識を示した。

2016年5月29日日曜日

有効求人倍率を見ると増税延期の必要は無い

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安倍総理はアベノミクスが失敗していると言う批判に、有効求人倍率が高水準で推移していることを理由に、失敗したということには当たらないと反論したそうだ(日経新聞)。景気対策と言えば雇用が重要になるわけだが、その中でも景気一致指数で即応性のある有効求人倍率を主要指標として参照するのは妥当である。しかし、有効求人倍率を主要指標としたときに、消費増税延期をすべきとは言えなくなる。

2016年5月24日火曜日

開発途上国の直観的理解ができる「ルワンダ中央銀行総裁日誌」

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新興国の発展が目覚しいとは言え、世界にはまだまだ開発途上国(LDC)が多くあるが、意外とLDCについて具体的なイメージを描く事は難しい。社会的、技術的に遅れて経済的に立ち遅れていると言うところまでは誰しも想像できるであろうが、それを打開する施策が実行できない理由は中々説明できない。ほとんどの人はLDCの政策担当者では無いから当然なのだが、なぜかLDCの中央銀行総裁になった日本人がいて、そのときの話を書き残しており、名著として知られている。それが「ルワンダ中央銀行総裁日誌」なのだが、実務者側から見た開発金融の話として貴重な文献だ。

2016年5月21日土曜日

日本における上昇婚

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日本人女性が上昇婚志向で結婚できなくなっていると言う主張に、社会学者の山田昌弘氏が著書で「社会的地位、生活環境の変動を目的として、経済力の高い婚姻相手を選定する」ことを「上昇婚志向」と定義しており、その定義から結婚前後の妻の消費水準の変化を考えると、上昇婚志向では無いとする批判がされていた*1。何かがおかしい。外部労働を辞めたら消費水準は落とさざるを得ないかも知れないが、外部労働を辞める余裕が生まれているはずで、そこは評価しなくて良いのであろうか。そもそも山田氏の上昇婚の定義が本当にそのようなものかが疑わしい。

ノン・ポンジ・ゲーム条件もしくは負債の横断条件

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経済学に限らず専門用語は往々にして、定義が誤解されがちなところがある。専門家の間でも混乱が見られるときがあるぐらいだ。最近はリフレ派界隈でノン・ポンジ・ゲーム(以下、NPZ)条件について誤解が見られていて、財政問題におけるNPZ条件が長期的に政府債務がゼロになる事を意味していると解釈されていた*1。しかし終わりの無い経済を考える限りでは、これは当てはまらない。

2016年5月18日水曜日

プログラマは高校数学を学んではいけない

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プログラマーとして社会人になったけど高校数学を1から独学している」と言うエントリーがあがっていた。基礎を固めるべく数学を独学しているそうだ。立派だと思うが、高校数学と言うのにひっかかる。授業時間の制約などがあり、変に範囲が狭くなっているものを学習する必要があるのであろうか。実のところ難易度はそうは変わらないので、大学生向けのテキストを読むべきだと思う。

2016年5月16日月曜日

消費増税反対派の妄想とは異なり、現実ではアイスランド政府はデフォルトしていない

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スウェーデンなど北欧の制度も良く誤解されている*1のだが、リーマン・ショック後のアイスランドも良く勘違いされている。例えば京都大学の藤井聡氏も「近年では、ギリシャやロシア、アルゼンチン、アイスランドなどが財政破綻しました」と書いていたし、最近は「2011年に政府債務を踏み倒したアイスランド」のような事を書いている人がいた。しかし、2008年から2011年のアイスランド金融危機でデフォルトしたのは市中銀行であって政府ではない。アイスランド政府はアイスランド市民以外の預金保護を行わなかった*2し、政府は各方面からの支援を受けてはいるが、その政府債務はデフォルトしていない。

2016年5月15日日曜日

富の偏在はなぜ生じるのか?

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明治学院大学の稲葉振一郎氏が『不平等との闘い』と言う新書の数学注を出していた。献本が来ない*1ので本当の内容は分からないが、その数学注出版社の作品紹介を見る限りは、一時期のマクロ経済学で不平等の話が低調になった理由が7章あたりで指摘されているようだ。数学注にあるような教科書的なモデルを少しいじった程度では、なかなか格差が温存される世界は説明できない*2。さて、教科書を超えたところで発展はないのか気になるのだが、Mariacristina De Nardiと言うマクロ経済学者*3不平等に関して簡単なサーベイ記事を書いていたので読んでみた。一時は下火になっていたようだが、能力や選好の偏在に起因するとするには大きすぎる格差を説明しようと言う取り組みは行われてきているようだ。要約と言うか、目に付いた部分を紹介したい。

2016年5月14日土曜日

理系であっても、ほとんどの人はアインシュタインの業績を知らない

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社会学者の千田有紀氏がアイドル・ソングの歌詞にマジレス芸を披露している。曰く、「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞が女性差別的だそうだ。

歌詞は論説ではないのだから普遍的な真実を主張する場所ではなく、こういう娘もいるな、こういう気分の時もあるななど、断片的な共感を誘うもので、こういう風に真面目に捉え出したら生きづらいと思うのはさておき、歌詞の中の「アインシュタインってどんな人だっけ?」と言う部分で、女子の理系進学をあれこれ議論していて噴き出してしまった。理工系に進んでも、物理学徒でもなければアインシュタインを偉人たらしめている相対性理論を学ぶ人は限られている*1事を知らないらしい。

2016年5月9日月曜日

ガルパンの戦車の隊列について

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ガールズ&パンツァーは荒唐無稽なコミカルな作品だし、シリアル路線であっても物理法則などがかなりおかしくなっている漫画は多いのだが、気になった事があったので「パンツァータクティク ― WW2ドイツ軍戦車部隊戦術マニュアル」で確認してみた。軍事マニアの人は気づいていると思うが、車両間隔が近すぎる。

2016年5月4日水曜日

若返り効果たんぱく質についた疑問

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並体結合で若いマウスの血を老いたマウスに送り込むと、老いたマウスが若返る血液ドーピングは広く知られている現象だが、その理由については良く知られていない。2013年にハーバード大学のAmy Wagers氏らがGDF11と言うたんぱく質に起因すると主張していたのだが、2015年の報告で疑問が出された(Nature News & Comment)。