2015年2月2日月曜日

長期雇用も年間を通して増減している

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疑似科学ニュースに就業者数の変化を月次データで分析する事について、精度が低く分析に値しないと文句を言われている。曰く、「(長期)雇用の変化は不連続」だから、分析結果の精度が低くなると言いたいらしい。経済学者や市場関係者は月次でデータ分析をしていたりするので本当だったら面白いのだが、データ的には誤差はあるものの連続的に変化していると見なしても問題なさそうだし、連続的に変化する理由もある。人数だから離散値と言う話で無ければ、無理があるのでは無いであろうか。

1. 非季節変動が階段関数のモデルを仮定する

モデルが大事と連呼する割りに、いつもの通り主張の数理的な特性は定かではない。しかし階段関数のケースが想定に近いような事を言っていたので、非季節変動値として表されるはずの長期雇用が階段関数になっているかを検討してみよう。不連続点も多数できる。階段関数になっていたら、平行な部分は情報が無いと言う事になるので、確かに分析には値しない。正月以外の初詣客の累積数のデータは、ほぼ無価値であろう。

2. 階段関数モデルは実データと合致しない

非季節変動値が階段関数になっていたら、季節調整済の就業者数も階段状になる。もし一年間に一度しか長期雇用が調整されなければ、以下のような季節調整値(X-12-ARIMA)が計算されるであろう。全部がではないが、階段状になっているところが分かるはずだ。移動平均も角ばってくる。

しかし、実際のデータに季節調整をかけても階段状にはならない。移動平均も滑らかだ。疑似科学ニュースが立てた(と思われる)仮説は棄却された。

階段の幅が狭い可能性も当然ある。しかし階段の幅が十二分の一であれば、要するに月次データになってしまう。季節調整値は月次でそれなり上下するので、階段の幅が数ヶ月の長さと言うのも考えずらい。

3. 疑似科学ニュースは何を間違えたのか?

恐らく疑似科学ニュースのブログ主は、新卒一括入社などの日本の雇用慣習から、雇用水準の変化が断続的になると思ったのであろう。しかし、中途入社や離職者は年中発生しているし、倒産やリストラによる新規失業者も年中出ている。正規、非正規の違いが関係ないことにも注意が必要だ。非正規でも何年も働く統計上の長期雇用の人々はいる。

仮説は色々立てられるわけだが、それをデータと突合せて行かないと、単なる思い込みの人になってしまう。もちろん各種法則と矛盾しないように理屈を立てる必要はあるし、計量分析の知識も必要だ。しっかりした教科書で式の展開に悩んだことは無く、科学読本を読んで満足しているような人には酷な話だと思うが。

追記(2015/02/02 17:30):コメントが来たのだが、疑似科学ニュースのブログ主は、自分が書いていることと、数理的な対応関係がよく把握できていないし、労働市場の統計にも注意を払っていないようだ。

年単位で変化する雇用は次の年の4月にならないと5月に起きた事件の影響はでないだろう。四半期単位の雇用であれば、7月かさらに次の四半期の10月に影響するかもしれない。月単位の雇用は直後の6月に影響がでるかもしれない。逆に半年後には影響は残らないかもしれない。

ここに書いてある事が数字にどう反映されるか図示すると以下のようになる。

要するに様々なレスポンスの雇用調整があると認める事は、ブログ主の主張を否定することになる。なお季節調整値の形状が議論の核になるが、「上のグラフの青線と下のグラフの青線、似た形をしてるよね」と何か勘違いした事を書いている。赤線が階段状ではないのが問題だし、青線も似ていること自体は問題なく、角ばっていない事が問題になると指摘しておいたのだが。

また「長期雇用のうち途中で雇用・解雇される分を無視」と勝手に言っているが、雇用変動が何でもたらされるか妄想でしか把握していないようだ。「年間の転職者数はおよそ280万人~350万人」らしいので、大学・高校の新卒者を大きく上回っており、影響を無視すべきではない。そもそも失業者は新卒枠で雇用されない。

疑似科学ニュースのブログ主は思いつきを並べるだけで、それが数理的に何を意味するのか、データなどと整合性が取れるのか、よく考えていないのであろう。疑似科学のサポーターは思いつきを言い立てるだけで、それが何を意味するのか、それを支持するデータがあるのか全く考えない傾向が強いわけだが。

追記(2015/02/02 23:19):移動平均値の折れ線グラフを凝視しても4月に変化が多いと言う先入観から抜けられないようなので、もっと直接的な比較をしてみたい。

折れ線グラフの角度を決めるトレンドを、⊿n月値=n月値-(n-1)月値と定義する。トレンド変化は、⊿n月値-⊿(n-1)月値。トレンド変化が多い月ほど、雇用情勢に変化が多い月になる。月ごとのトレンド変化の絶対値の平均値を見れば、どの月の変化が大きいか分かる。

まずは原数値から見ていこう。4月、5月、12月、1月が雇用が動く時期だと分かる。

季節調整をすると全般的に滑らかになるので、リストラや中途採用に季節性が薄いことが分かる。しかし、夏から秋は変化が少なく、11月や1月に大きく動く傾向があるようだ。

移動平均で見ると、大きな特色は無くなる。もし4月などに年に一回だけトレンドが変化するのであれば、4月などだけが突出して高くなるはずなので、万遍なく雇用変化がある事が分かる。

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