2014年12月31日水曜日

田中秀臣とGDPデフレーターとおバカさん

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ask.fmの質問で知ったのだが、「金融緩和がデフレーターに影響無いことも明らかですし」と言う発言に対して、経済学史が専門の田中秀臣氏が「なに、このおバカさん? 頭が悪いと統計データも素直にみれないのか 笑」と言って、(タイトルがおかしい気がするが)GDPデフレーターの昨年比のグラフを貼っていた。2014年第2四半期から跳ね上がっている。明らかに消費増税の影響を補正していない。

消費税の影響がどの程度かが問題になるが、内閣府の資料などを見ていると1.4%程度、かさ上げしていると見ているようだ*1。2014年Q2以降のGDPデフレーターを1.4%弱割引いて、プロットしてみた。

リーマンショックの影響か2010年までどんと落ち込み、そこから回復していっていることが分かる*2。しかし、白川日銀のリーマンショック後と黒田日銀でトレンドに変化は無い。黒田バズーカこと異次元緩和で、GDPデフレーターに影響があったとは言い難い。

ところで田中秀臣氏は消費増税のことをすっかり忘れていただけだと思うが、そういう自分の手落ちの可能性を考慮しないで「おバカさん」と罵るのは、後の事を考えると賢明ではないように思える。間違いが無くても上品には見えないわけで、ネット上の立ち振る舞いを多少は考えた方が良いかも知れない。

追記(2014/12/31 23:27):内閣府の消費増税の補正値とGDPデフレーターの補正値に空目していたので、訂正した。なお、2013年から傾斜が急になっていると思う人が出てくるかも知れないが、「平成26年度年次経済財政報告」のP.96の記述によると、GDPデフレーターは円安になると最初は低下し、元の水準に戻っていく性質があるらしいので、その間は変化率が大きくなる事に注意されたい。

追記(2015/01/01 00:15):2013年を境にトレンドに変化があったか簡単な回帰分析でテストしてみたが、変化は観測されなかった。時間変化の係数は0.590から0.592に変化するのだが、変化の大きさはP値0.982とゼロを棄却しない。

*1『消費税率引上げの影響を機械的に除いて試算すると、消費者物価(総合)は1.2%程度、GDPデフレーターは0.7%程度』とあり、1.021/1.007=1.013903になる。

*2水準を確認したい人ために、GDPデフレーター自体のグラフも掲載しておく。

2 コメント:

touhoumaiden さんのコメント...

よくわからないのは
結局増税の影響1.4%ってのはどこから出てきた数字なんです?

まあいずれにしても金融政策は効果に時間がかかるという説もあるのでもうちょっと長期的に見てみないと何とも言えないですが。

uncorrelated さんのコメント...

>>touhoumaiden さん
脚注に少し書いておきましたが、以下の主要経済指標の平成26年度(今回試算)のGDPデフレーター2.1と、「(注4)消費税率引上げの影響を機械的に除いて試算すると、消費者物価(総合)は1.2%程度、GDPデフレーターは0.7%程度」から、1.021/1.07を計算して影響を産出しました。

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