2013年6月9日日曜日

錯視まで詰まった「逆説論理学」

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野崎昭弘氏の「逆説論理学」は、中高生向きの教養本だと思うのだが、色々なパラドックス(常識に反する主張)を紹介している娯楽本だ。33年の発売なのに今でも売っている名著の類だが、ドサクサに紛れて錯視まで紹介されている。

あまり数学を使わないように努力しているが、所々に簡単な証明も入るし、数学の本に分類されると思われる。応用分野の人々には縁が薄そうなカントール、ラッセル、ヒルベルト、ゲーデルの名前を知るには調度良い本かも知れない。

娯楽本なので体系的ではないのだが、無限の取り扱いが矛盾を孕みやすい事、自己言及すると矛盾が発生しやすい事、カントールの発見である集合には濃度がある事、ラッセルの発見である集合の公理は矛盾を孕みやすい事が示された後に、ゲーデルの不完全性定理が紹介される。

ヒルベルトは性格がアレなのでともかく、カントールやラッセルと言われても記憶に定着しないので、多少なりとも業績を紹介されている本は教養を豊かにしてくれる気がする。正直に言うと「数学の公理系が無矛盾である事を証明する直感的な方法が無いんだ(´ー`)フーン」以上の事は分からないのだが、偉人名を並べ立てるタイプの人とのコミュニケーションには役立つであろう。

そういう類の人とは、あまりお付き合いしない方がいい気もするのだが。

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