2013年6月7日金曜日

“リフレーション政策”を実行したけれども

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

安倍晋三氏が自民党総裁に返り咲いた2012年9月12日ぐらいから上昇しはじめ、4月4日の黒田日銀総裁の異次元緩和後に上昇ペースが加速した株価だが、ここに来て急落の動きを見せている。良くも悪くも落ち着きを取り戻したようだ。黒田バズーカに何も効果が無かったように見えるわけだが。

インフレ目標政策にしろ、黒田バズーカ(量的緩和)にしろ、それらが実経済に影響をもたらすか否かは、マネタリーベース(M1)がマネーストック(M2)に波及するか否かにかかっている。

P=λM/Y; P:物価, λ:貨幣乗数, M:マネタリーベース, λM:マネーストック, Y:国民生産と定式化されるわけで、マネーストックに影響が無ければ物価にも影響が無いからだ。

5月のマネーストック統計もまだ出ていない段階で、金融政策の是非を断定するには早すぎると思うが、4月の時点では大きな変化は無かった。

効果が無い理由は明白で、日銀当座預金だけが増えており、市中銀行が余剰資金を流していない。上場企業も債務圧縮をする意欲が強いようだ*1

5月末で東証一部の加重平均で、株価純資産倍率(PBR)は1.3倍、株価収益率(PER)は27.8倍程度になっており(東証 : 規模別・業種別PER・PBR)、PERは少し高いかも知れない*2。最近の下落は、PERで見て適正値に戻ったと言えなくもない。

今のところは大規模な量的緩和に、市場を霍乱する以上の効果は無いように思える*3。今後も量的緩和の規模は拡大していくわけだが、マネーストック統計がどのように変化していくかに注目したい。

*1実質無借金、上場企業の5割超 財務体質を強化

*2米国だとPERは20倍を超えるとバブル気味と見なされているようだ。ただし将来的に企業収益が高くなると予想されるならば、20倍を超える事はあり得る。

*3こういう事を書くと、量的緩和が無限にできるのであれば、無税国家が可能になると“バーナンキの背理法”を持ち出して来る人々がいるが、Wallace(1981)から国債の発行残高が一定で、無理な低金利誘導が無い状態で、量的緩和を幾ら行っても影響が無いと解釈できるので、無税国家が成立する状況であるとは言えない。

0 コメント:

コメントを投稿