2013年6月14日金曜日

不安定な長期金利、円高、そして株安に関して知っておくべきこと

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円高株安で日銀の金融政策に関しての不満や失望感がネットで広がっているようだが、市場関係者は分かっていると思うものの、追加緩和が無い事が全ての起因と言うわけでもない。

為替相場は外国の都合も多々あるし、株安も為替や株価収益率から考えると極端に安くなったとも、あるべき水準を外しているとも言い難いわけで、失望するには当たらないように思える。

1. 長期金利の変動に関して

不安定な長期金利は、日本国債市場関係者への週次アンケートを元にしたロイター記者の考察による流動性低下によるボラティリティの上昇が理由と言うのが最も説得力がある。現行の債券買い入れの回数を増やし、1回当たりの額を減らしたほうがいいとの要望もあり、ここはマクロ経済な問題ではなく、テクニカルな問題と見る方が良さそうだ。実際に過去10年を見ても、別に長期金利が上がっているわけではない(長期金利推移グラフ | 日本相互証券株式会社)。

2. 円高に関して

円高に関しては、外国為替なので相手国側の都合もある。米国の景気回復が期待されたペースでは無い事などが理由で、円高にもなるからだ。

為替への影響が大きいとされる米5年国債金利は、実は5月ぐらいから上昇に転じている。

しかし、期待インフレ率の代理変数になる米国債のBEIを見てみると、低下している(Market Daily)。

米国の実質金利が期待したほど上昇しなかったので、円安が調整されたとも言えるわけだ。

3. 株安に関して

現在の株式市場は為替レートの影響が大きく出るので、円高が進行すると値を下げる傾向がある。さらに、株価収益率で見ると日本株はお買い得感が無い。5月末で東証一部の加重平均で、株価純資産倍率(PBR)は1.3倍、株価収益率(PER)は27.8倍程度になっている(東証 : 規模別・業種別PER・PBR)。

4. 黒田日銀はどうするべきか?

長期金利の上昇は、気にしない方がいいであろう。過去の水準から見てまだまだ低いし、そもそもインフレ目標政策をとっているのだから、長期金利に何もコミットする必要は無い。そして期待インフレ率が上昇する事による金利上昇であれば、インフレになって税収も増えるのだから、別に財政面などに悪影響も無いであろう*1。株価も政策目標になり得ないので、無視すべきだ。

それでも追加の金融“緩和”を行いたいと言う事であれば、2年でマネタリーベースを2倍にすると言う黒田バズーカの後*2なので、もうREITなどのリスク資産を購入するしか手段は無いように思える。3月から5月まで3ヶ月連続でマネーストックの増加率が昨年比で3%を超えている事を考えると、株式市場だけを見た政策になるわけだが。

ただし東証REIT指数のチャートを見ていると、どこかでやるかもと思えてくる。

*1所得税の増加効果などによる税収弾性値と、フィッシャー方程式が部分的にしか働かないことによる実質金利の低下などを勘案すると改善すると思われる。

*2通貨数量説を信じれば年率41.2%のインフレになるわけだが、黒田総裁もそのような事になるとは思っていないであろうし、市場関係者もそのような事になるとは思っていないようで、金利と債券量が一定のときに、中央銀行の債券購入が実経済に影響をもたらさないと言うWallace(1981)の理論が有効である事をさらに証明しつつあるように思える(関連記事:中央銀行の公開市場操作の中立性命題に関して)。

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