2013年2月12日火曜日

高速増殖炉が経済的に意味をなさない? ─ まだ研究開発中ですよ

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経済評論家の池田信夫氏が、高速増殖炉もんじゅや六ヶ所再処理工場に予想を超えるコストと時間がかかっており、高速増殖炉に経済的な意味が無く、さらにウランの埋蔵量が十分だと主張している(BLOGOS)。「今はね」と言う感じだ。結論に飛びつくのは早いのでは無いであろうか。

二つ見落としがある。まず、高速増殖炉は研究開発中の技術で、一度技術が確立されれば追加のコストは低くて済む事だ*1。次に、可採年数の定義を確認しないまま議論している。OECD(2010)の以下の表も可採年数は2006年度の可採埋蔵量/生産量で計算されているわけで、中国、インド、トルコなどの途上国が原発を利用し始めたら、一気に短くなる。

地球温暖化問題が再び注目されれば、10倍ぐらいのウランの消費が拡大するかも知れない。すると700年ある可採年数が70年になるわけだ。そのときに高速増殖炉が使えれば、21000年以上持つ事になる(関連記事:可採年数124年の天然ガスが、2053年に枯渇するかも知れない)。政府が高速増殖炉のような莫大な費用をかけて研究開発しているのは、目先の経済状況に最適化するためではない。

*1「開発できればね」と思っている人も多いであろうが、ここでは無視する。

2 コメント:

ko さんのコメント...

海水からのウラン回収で 実験室データに基づいた達成可能コストとして3.2万円/kgUと報告されています。2009.5スポット価格1.3万円/kgUですので、その3倍です。
ウラン価格が上昇すれば当然このような代替資源がペイするようになり、結果として現状より1桁上の価格には至らないのではないでしょうか?

高速増殖炉の実現可能性について懐疑的、かつ前提条件たる再処理工程についても「高価な環境汚染装置」と見做してますが、それをおいても上記のような議論が可能、ということです。

uncorrelated さんのコメント...

>>ko さん
ウランの可採年数が増えると、その30倍以上プルトニウムの可採年数が増えるので、高速増殖炉の研究開発から得られるリターンが増える、つまり研究開発コストが大きな問題では無くなると言うことです。

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