2013年2月3日日曜日

誤解され続ける北欧の解雇規制

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The Economistの記事を枕に、経済評論家の池田信夫氏が『北欧諸国に特徴的なのは、企業に対する補助金や解雇規制がほとんどない』と言っているのだが、解雇規制が無いに労働問題が御専門の濱口氏が指摘するであろうと思ったら、指摘していた(スウェーデンの解雇規制再三再論)。

The Economistの記事は、北欧は長期を見据えた現実主義に徹して、経済効率と福祉を両立していると指摘している。公共サービスに民間を使って競争を促進する事を厭わず、また効率性の測定を行い、大企業救済などの短絡的な政策は許されず、行政や政治も透明性や技術導入が促進されており、政治家の無駄遣いは厳しく追求されるそうだ。なおリンク先には、池田氏が説明する分権化の話は書かれていなかった。

さて、北欧諸国の解雇規制だが、日本よりも解雇規制が緩いと言う事は無いようだ。日本でも普通解雇/懲戒解雇は迅速に行う事ができるし、北欧も整理解雇は厳格な適用ルールがある。ただし、無効解雇を行ったときに、金銭解決で強行が出来る事が日本と大きく異なる。勤続5年未満は16ヶ月分、勤続5年から10年で24ヶ月分、勤続10年以降で32ヶ月分と安くは無い(スウェーデンは解雇自由だって!?)。

また、池田氏が指摘する「産業別労組の組織率が高く再就職が容易」と言うのは嘘ではないが、このゲント制は、濱口氏によると「超労働組合万能国家であるがゆえに、自分から労働組合に入ろうとしない人間は、セーフティネットから自動的に排除されてしまう」と言う問題もあり(デンマーク型フレクシキュリティの落とし穴)、産業別労働組合が就業先を斡旋していたら、労働移動が迅速に進むのか不安も残らなくもない。

北欧では従業員を能力不足で普通解雇するときに、ジョブ型雇用であるので、配置転換や再教育の努力義務を負わなかったりするのでは無いかとも思わなくも無いのだが、それでも解雇規制がほとんど無いと言うわけでは無いであろう。ともかく、北欧は参考になる部分が多い高福祉国家だが、現実の北欧を評論しないと意味が無い。

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