2011年9月27日火曜日

信頼が置けない韓国のインフレ・ターゲティング

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韓国の通貨ウォンの価値が対ドルレートで1ヶ月で10%以上と大きく下落しており、1998年の通貨危機後の最安値の水準になっている。外為市場の危機は国技のような国ではあるが、今回はやや様相が異なるようだ。経常収支はアジア金融危機後12年間は黒字を維持している。長期金利は2月の4.76%から、8月は3.96%に低下したが、短期金利は3.13%から3.59%に上昇している。この間、ユーロの金利はあがっているが、ドルはほぼ横ばいだ。通貨供給量も2010年12月と比較して、2011年7月は韓国ウォンのM3は2.8%増加しているが、米ドルも5.7%増、ユーロも1.4%増となっている(OECD)。

インフレ率も1.36~4.14%程度に収まっている。貿易依存率が高く為替レートの下落が輸入インフレを引き起こしやすい経済構造なので、上が4.14%はそう悪くは無い。韓国ウォンの購買力平価指数為替レート(PPPGDP)は2010年で827.35ウォン/ドルだ(OECD)。日本は111.39円/ドルである。つまりPPPならば7.43ウォン/円となるが、実際の相場は15.22ウォン/円(2011年9月23日)、1195.8ウォン/ドル(2011年9月26日)である。2010年末も13ウォン/円程度であり、そもそも物価指数の為替レート説明力は限定的であるのに、最近になってインフレ率を思い出すのも奇妙な傾向だ。

原因不明だなと思っていたら、インフレ・ターゲティング採用国なのに、中央銀行総裁がインフレ目標の達成を諦めることを示唆していた(中央日報)。ウォンが下がった後の発言だが、そもそも市場は金融引締めができると考えていなかったので、ウォン安になっていたのであろう。そうすると、この発言で予測が裏付けられたので、ウォンに対する信用はさらに低下する事になる。

実のところは、下落通貨はウォンだけではない。インド、ポーランド、ブラジル、インドネシア、タイ、フィリピン、シンガポール、台湾などの通貨も為替レートが下がっている(毎日jp)。日本にいるとドル安・ユーロ安に思えるが、実際に起きていることは円高と、新興国通貨の下落だ。新興国の輸出相手国である米国や欧州、そして中国の景気が悪化しつつあるので成長率に疑問が持たれている事もあるのであろう。しかし、韓国中央銀行総裁のターゲット・レートの放棄の示唆は、新興国の金融政策のコミットメントに市場の信頼を失わせるモノになる可能性がある。

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