2011年9月23日金曜日

増税賛成のクルッグマンと、増税反対の岸博幸

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慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の岸博幸教授がノーベル賞経済学者クルッグマンが緊縮財政に反対していることを取り上げ、欧米以上に日本の経済財政運営に対する批判として的を得ており、日本で議論されている増税が問題を悪化すると主張している(ダイヤモンド・オンライン)。

1. クルッグマンは所得増税賛成・消費増税反対・財政支出拡大派

クルッグマンが緊縮財政、つまり財政支出の縮小に反対しているのは確かだ(NYTimes.com)。事あるごとに財政支出の拡大を主張している。しかし、増税反対とは言っておらず、むしろクルッグマンは増税賛成論者である(NYTimes.com)。富裕層への増税を支持しているコラムも書いている(クルーグマン「社会契約」(NYT,2011/09/22))。つまり、増税してでも支出を維持・拡大すべきだと言う主張をしている。ただし、デフレでは消費税増税を考えるべきではないと言っている(現代ビジネス)と言っているので、所得税や資産課税の強化を主張していると考えて良いであろう。

2. 岸氏とクルッグマンの間には隔たりがある

増税反対の岸氏の主張と増税賛成のクルッグマンの間には大きな隔たりがあるわけで、クルッグマンが反対している緊縮財政が財政支出の縮小を意味することを隠して持論を補強するかのように主張するのは、欺瞞のようにさえ感じられる。労働問題が専門の濱口氏が、岸氏を「クルーグマンの思想と反対のことを喚いてきた」と批判していたが、クルッグマンの「リベラル」に考えを及ぼす以前に、クルッグマンが消費税以外の増税を主張しているのは確かだ。

3. 日本の租税負担率・国民負担率は高くはない

もちろんクルッグマンが米国で増税主張しているからと言って、日本に増税が必要だと主張するとは限らない。しかし、日本の租税負担率は低い方だ(財務省)。社会保険負担率を加味した国民負担率は、欧州よりも低く、米国よりも高くはなるが、国際比較では高水準ではない(国民負担率を構成する租税負担と社会保障負担の推移(各国))。ゆえにクルッグマンの警告を見ている限りは、増税方法を良く考える必要はあるのであろうが、増税自体が問題になるわけでは無いように感じる。

4. クルッグマン以外で増税反対の権威付けを

岸氏が何を考えてクルッグマンの主張に言及したかは不明だが、増税反対の是非はともかくとして、自身の主張と合致する主張を引用した方が良いであろう。増税反対論者は世界中にいるので、探せば同じような意見の人も多数見つかるはずだ。

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