お茶の間で人気の国際政治学者・三浦瑠麗氏が、8月12日の東京新聞のインタビュー記事で、「国家観・歴史観を持ち、理念を掲げられる日本人が育たなくなっている」から、「(戦前)を全て否定するのは一面的で、過去を見誤っています」と主張している。戦史をしていた人なのに、第二次世界大戦の敗北が無かったことになっていて興味深い。戦前の政治家や軍部は、勝てないケンカを売って祖国を焼け野原にしたわけで、碌な国家観・歴史観・理念を持っていなかったとしか言いようが無く、意味不明である。
戦前権力を握っていた東條英機などはダメだが、戦後活躍した李登輝などは優れているので、明治・大正期は駄目だが昭和初期は優れていたと言いたいのかも知れないが、明治・大正期も昭和初期も同じ憲法に基づく体制である。また、戦後活躍世代の国家観・歴史観・理念は、敗戦に影響されている部分が大きく、戦後に培われた部分が多いであろう。そもそも戦前の体制の何が、戦後活躍世代の国家観/歴史観/理念を育んだと言えるのであろうか。
抑圧された世の中だと国家についてあれこれ考えるのかも知れないが、だからと言って抑圧された世の中に戻すわけにも行かない。三浦女史に参政権があり、三浦女史が自由に政府批判ができる今の日本の方が、戦前の日本よりもずっとマシであろう。なお、戦前の新聞は1909年公布の新聞紙法で検閲対象となっており、三浦氏が極度に人権抑圧しだしたと言う1943年よりずっと前から、言論は統制されていた。
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