2012年8月9日木曜日

バーナンキFRB議長が語る経済指標の問題点

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バーナンキFRB議長が講演で、経済学や経済政策に置いて経済指標は重要なものであるが、現在のマクロ経済指標は、経済主体ごとの状況の違いや限定合理性を反映せず、人々の幸福を反映したものとは言えない問題があり、ミクロ指標を併せて見る必要性や、マクロ指標の研究改善の余地があると語った*1事が反響を呼んでいる。しかし、誤解に基づく反響のようだ。

一部のメディアで「ブータンが導入した国民総幸福量統計が代替指標の一つになり得る」と言ったと紹介している*2のだが、実際にはブータンについては、以下のように簡単に触れただけだ。訳は指示代名詞を補完している。

An interesting and unique case is the Kingdom of Bhutan, which abandoned tracking gross national product in 1972 in favor of its Gross National Happiness index based on a survey that incorporates these types of indicators. (一つの興味深く独特な例はブータン王国であり、1972年にGNPの集計を辞め、精神的満足度や教育水準、身体の健康や安全、共同体の活性度、家族や社会の絆の水準と言う種類の指標を取り入れた調査に基づく、ブータン王国が提唱したGNH指標を支持している)

国民所得以外の社会的評価基準もありえますよと言う事例紹介で、それが優れているとは言っていない。国民所得以外の指標、例えば失業率や教育水準、所得格差、健康状態なども話題になるので、異論がある人は少ないのでは無いであろうか。国民所得が上昇すると大抵の指標は改善する傾向があるので、国民所得で十分だと思う人も多いであろうけど。

女性問題の専門家のエミコヤマ氏が『所得なり健康なり社会の公平度なりいろいろ指標があると思うんですが、それを「幸福」という単一の指標にまとめるのは無茶すぎ』と批判していたのだが、国民所得は完璧では無いですよと言う注意を喚起したと思えば、おかしい議論ではないと思う。

もちろん、インフレ率と雇用水準に責任を持つ『FRB議長に「幸福」云々言われても』と違和感を持つのは当然だと思うが、バーナンキ氏は高名な主流派マクロ経済学者で学会でのスピーチだから、経済学者としての講演だと思う。多めに見てやってください。まさか研究余地が無いとも言えなかったであろうし。

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