2021年1月12日火曜日

トランプ大統領のSNS村八分はQアノンのカルト化を促進する可能性がある

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ソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じた大統領の呼びかけが1月7日のトランプ大統領支持者による連邦議会襲撃事件の要因の一つであるためだと思うが、大手SNSが“さらなる暴動を抑制するため”トランプ大統領とその支持者への締め付けを強化し、野放しにしていたSNSがそのインフラを支えるクラウドサービスから契約を打ち切られる自体に発展した*1

これぞアメリカン・リベラリズムの同調圧力といった感じでヒラリー・クリントン女史大歓喜の展開なのだが、一連の流れを危険視する声が上がっている。ある種の政治的主張を封殺するのは民主制度の運営を阻害し、封殺するにしろ法律に基づかず民間企業が裁量的に行うのは弊害が大きいと言う主張だ*2

SNSのアカウント規制は担当者の裁量が大きいのは間違いなく、社長の妻が利用者の容姿で決めていたというまことしやかな冗談すら昔はあったので、今の流れは公正さを損なうリスクがあるのは理解できる。しかし、Qアノンなどトランプ支持者は集団なので、排除を契機にカルト化が進みかねない方が問題だ。「真実が書かれた秘密のSNS」に特定思想の人々が集まり、考えを先鋭化させていくおそれがある。

オープンソースのSNSアプリケーションがあるので、小規模のSNSを運営するのは実のところは難しくない。大規模になってくるとバックエンドがきつくなると言うか、かつて中の事情を聞いている限りはしんどそうであったが、それから10年間で状況は変化している。ハードウェアも高速化しているし、高級プログラミング言語のパフォーマンスも大幅に改善されてきているし、現在代表的なオープンソースのSNSアプリケーションは分散型なので顕示的には負荷分散できる。特定層向けのSNSならば、ソフトウェア・エンジニアが片手間で運用しかねない。

人が集まってのSNSなので、オープンソースのSNSサービスの開発は停滞気味なのが安心材料ではあるのだが、Qアノン難民が流れ込んで活性化されてしまうこともある。検索サーバーから除外したり、IPアドレス規制をかけたりする事もできるであろうが、国外ホスティング・サービスを使って、口頭でIPアドレスが伝え合うような事もできるわけで、邪魔はできても撲滅に至るとは限らない。

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