2020年6月17日水曜日

抗体保有調査結果は、概ね検査体制から予想される通り

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調査に使うつもりだった抗体検査キットの性能評価試験*1のあと、少し遅れ気味?に実施された抗体保有調査の結果が出てきた。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染すると抗体がしばらく体内に残るのだが、それを検査することで市中感染の程度を測ろうとする試み。結果は概ね、検査体制から予想される通りだ。

調査結果は概ね信頼が高い。6月1日から7日にかけて、東京都、大阪府、宮城県のそれぞれで、性・年齢で層化した無作為抽出で約3000名の一般住民をリストし、大阪府と宮城県ではほぼ全員が、東京でも3分の2が調査に応じて抗体検査を受けている。偽陽性の問題を抑制するため、ロシュ社とアボット社の検査試薬両方で陽性となった者を抗体保有者としてカウントしている。なお、ロシュ社とアボット社の検査試薬は同一人物を陽性とした数は、どちらかが陽性とした数の21%にすぎず、この方法は偽陽性をよく抑制できているように思える。

区間推定にして*2抗体保有率を見ると、東京都0.10%(95%信頼区間0.031~0.366%)、大阪府0.17%(95%信頼区間0.074~0.392%)、宮城県0.03%(95%信頼区間0.008~0.185%)。点推定値は、通院や入院や自宅療養をともなうPCR検査による累積感染者数の2.6倍、8.5倍、7.5倍しかいない。4日間の発熱がPCR検査に要求されていた*3など中症~重症にならないと検査されない体制なので、2~3割程度しか補足されないと考えると、3.3倍から5.0倍ぐらいが予想される。東京は予想より少なく、大阪と宮城は多いとなるが、区間推定の幅は広く、その範囲には収まっている。

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